2014年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 241】 by 岡村恭子
VOL.241 モノを包むということ。
torsdag den. 29 mai 2014
先日、延江さんに美味しい紅茶を頂きました。
普段行列などしないコペンハーゲンで、ここだけは何時行っても
お店の外まで人が並んでいるという人気店の紅茶です。
中身よりもパッケージに力が入りがちな昨今、紅茶をギュッと詰めた袋を
輪ゴムで止めただけのシンプルなパッケージがかえって新鮮です。
パッケージ=「モノを包む」という事で思いつくのが「風呂敷」です。
一枚の布でどんなカタチでも自由自在に包める“ FURO-SHIKI “は
シンプルな包装の決定版と言えそうです。が一方で、実はこの風呂敷が
過重包装の元かもしれない、と思える時があります。
例えば、これからの季節ならお中元のコマーシャルなどで見かける場面…
綺麗な風呂敷包みがはらりと開いて、中から化粧箱入りの結構な品が出て来る。
あたかも風呂敷というカーテンの中から主人公が現れたように。
そうすると次第にその主人公をもっと着飾ってあげたくなるのが人情で、
リボンを掛けて、中箱も作り、その箱の中にもう一枚薄紙で包んで…と際限が
無くなります。結果、本当の中身は何だったっけ?というような事にもなりかねない。
それに比べるとデンマークは素朴です。最近はお洒落なパッケージがもてはやされて
きてはいますが、今でも基本的には紙袋に入れるだけ。その中に直接品物が入って
います。身近な所ではパン屋さん。ガサがサッと無造作に紙袋に入れてくれる、
たまに甘いお菓子を買うと簡単な紙の箱に入れて輪ゴムで止めてくれる。綺麗な
包装紙やリボンなど望めません。でも、その白い箱を持った時はちょっと嬉しい…
そんな感じです。
卵のケースも私が来た30年前からずっと変わらず再生紙製です。私はこのケースを
春先の花のタネを育てる時に使っています。発芽したらケースごと土に植えられて
便利です。今がシーズンの苺も素朴な再生紙の器に入っているのが山積みだと
つい買いたくなります。透明なプラスティック容器入りよりずっとずーっと美味しそう
に見えるからです。素朴な自然素材の持つ力を感じます。
紅茶の包みを眺めているうちにモノを包む事からリサイクルまで、思いついたことを
書いてしまいました。結局のところ何事も凝り過ぎは禁物で、日頃から
さり気なく心を配る…苺の容器のように中身を傷つける事無く優しく…。
そんな人になれたら理想的ですが、現実は気づかぬうちに過重包装になっているような
気もしています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
美味しい紅茶のお店 A.C. Perchのファサード、老舗の風格が有ります。
金色の袋に輪ゴムというところがステキです
苺も卵も再生紙の容器に入って居心地良さそうです。
ピンク色の卵ケースはニューフェイス。
今朝の庭から。