2015年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 309】 by 岡村恭子
VOL.309 Louisiana Museum 探訪 その2
ソーシャルプラットフォームとしての役割
torsdag den. 1 oktober 2015
先週は延江さんのブログ更新を楽しみにしていた一週間でした。
素晴らしい作品やワークショップ風景などの写真から会場の様子が
手に取るようで、私も仲間入りしているような気分になれました。
延江さん、お疲れさまでした。
来年の事を言うと鬼が笑うかも知れないけれど、それを承知で…
みなさん!どうぞ来春のオープンステッチハウスもお楽しみに!
さて、草間彌生の特別展で久しぶりに出かけたLouisiana 近代美術館。
行く度にイイなあ…と思います。
こじんまりとした入り口を入ると左右に翼を広げるように新旧の建物が
連なる。勾配を巧みに利用した変化にとんだ空間が広がります。
文字通り “ 奥が深い “ 建物です。両サイドガラス張りの回廊を歩きながら
外に目をやると芝生の庭に大きな木々がゆったりと葉を茂らせています。
フローリングの床は静かだし窓枠も木製だし…個人住宅のような温もりの中、
の〜んびりとジャコメッティの彫刻などを鑑賞して、そろそろ一休みしようかと
庭に出た途端、突然のように眼前に海が開けます。そのドラマティックな
展開に毎回感動します。
海峡の向こうにスカンジナビア半島が望める広々とした芝生の庭。
お天気が良い日にはみんな日光浴をしています。こうなると美術館というよりも
公園という感じです。もちろん、芝生に寝転んでも叱られません。
芝生の勾配を子供達がかけっこしています。ハイスクールの生徒たちが
ベンチに腰掛けて憩っています。その横を車椅子の人がゆっくりと通り過ぎます。
みんなが思い思いにルイジアナでのひと時を楽しんでいる…。
私にはそうした情景全てが印象派の絵画のように映ります。
広い空を背景にしたカルダーの色鮮やかな赤いモビールやヘンリームーアの
大きな石の彫刻、少し目立たない場所にさり気なく置かれたイサムノグチの石彫、
という具合に庭全体が彫刻美術館にもなっていて、いずれも心憎いばかりに
巧みなレイアウトで置かれています。
美術館というと荘厳な建物で物音を立てたら叱られそうだし、襟を正して
きちんと鑑賞しなければならない、という先入観念に捕われがちな私でも
Louisianaは大丈夫!と思える。全ての人が楽しめる雰囲気に包まれています。
子供の為の芸術教室も有り、毎週開かれるワークショップには沢山の子供が
参加します。その日、キッズルームを覗くと次回のワークショップ用に
Yayoi Kusamaの『パンプキン』を象った粘土のミニチュアを撮影していました。
粘土のカボチャを作って “ Yayoi Kusamaを知る子供達 “ …というのも如何にも
ルイジアナらしい。全ての人に開かれた美術館という言葉がピッタリします。
美術館はみんなの財産、ソーシャルプラットフォームとしての役割を果たす、と
いう創設者 Knud W. Jensen の言葉を継承している証だと思います。
http://www.louisiana.dk/
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
ルイジアナのランドマークでもあるカルダーのモビール
生の向こうに突然の様に海が広がるダイナミックな景観
庭にジャコメッティのコレクションでも有名です。
キッズコーナーにて。丁度作品が完成したと自慢する少年。
Yayoi Kusama展に合わせたカボチャのワークショップ用撮影風景。
Yayoi
Kusama展の水玉コラボ用のシール(VOL.307参照)をボディーに貼って自慢して見せてくれました。
係の人に注意される事も無く「それもイイねえ」という感じです。