2015年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 313】 by 岡村恭子
VOL.313 文化の秋 : Learning from Japan展より
torsdag den. 29 oktober 2015
冬時間になりました。
昨日の朝7時がまだ6時、時計の針を一時間戻した日は少しのんびり
朝寝坊できます。その代わりに昨日の夕方7時は今日の6時ですから
早々と暗くなりその分夜が長く感じられるという、何ともキツネにつままれた
ような妙な一日になります。次の日からはすっかり慣れてしまうものの、
いつまでたってもこの時間切り替え日は調子が狂ってしまいます。
ところで、調子が狂っているのは私だけでは無いらしい。
どうやら庭の草花も今年は調子狂いっぱなしのようです。
低温多雨の夏の後に続いて平年よりも暖かい9月、10月とメリハリの無い
異常気象のお陰で、いつもならとっくに枯れてドライフラワーになっている
はずの紫陽花が遅すぎる花を付けたり、花壇のラベンダーもまだ元気に花を
咲かせていたり、毎年9月末には真っ赤に紅葉するツタは赤くならずに
黄緑色のまま落葉していいものか?と未だに悩んでいる様子です。
そういえばミツバチも少なっかたし、蜘蛛の数もとても少ないような気がします。
代わりに増えたのが見た目は可愛いけれど葉っぱを食べ散らかすカタツムリ。
地球温暖化と多雨の気候変化は我が家の小さな庭にも影響していると実感します。
それでもやっぱり季節は確実に冬に向かっている訳で、草花の冬ごもり準備は
怠り無く。ゼラニウムを全て植木鉢に移して室内に取り込み、チューリップの
球根を適当な場所に埋め込んでホッとひと息、あとは落ち葉掃きを残すのみ、
今シーズンの庭仕事はほぼ完了です。
そんな “ ホッとひと息の週末 “ 、家人と連れ立って工芸博物館
(http://designmuseum.dk/)に行って来ました。
興味深い特別展が始まったばかりなのです。その名も『Learning from Japan』展。
まずこのタイトルに驚きます。思えば家人も北欧の家具デザインに憧れて
デンマークに留学したのが家具デザイナーになった切っ掛けです。言い換えれば
『Learning from Denmark』だったわけです。そのデンマークが
「日本から学んだよ」と言うのですから「目からウロコが落ちる」とはこの事です。
1873年といいますから今から300年以上も昔からデンマークの人々は
遠い日本に憧れ、日本の伝統文化工芸から様々な事物を学び影響を受けて来た
のだそうです。同展では歴史を振り返りながら貴重なコレクションを展示、
それと平行してデンマークの工芸品の数々が並びます。
現在、世界に知られるデザイン王国=デンマークが実は日本文化に影響を受けた
のだと丁寧に説明しています。同展の “ ズバリ!” 的なタイトルは取りも直さず
自らの自信の裏付け、相手をリスペクトする気持ちを素直に表現している。
デンマーク人の正直な良い性格がタイトルに現れていると思いました。
2017年には日本とデンマークが友好条約を結んで満150年になると
いうことですが、みなさまの大好きな北欧刺繍も両国の人々が長い年月をかけて
繋げてきた文化交流の一つ、これからもきれいな色糸で二つの国を結んで行って
欲しいなと思いました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
工芸博物館の入り口には大きなJAPANというポスターが!
大きな壷は2007年デンマークの陶芸家作。右横は1300年代の越前焼き。
デンマークの家具が畳に違和感なくとても良く似合っています。
工芸博物館の中庭から。
落ち葉の舞う晩秋の庭に赤い蔓バラと黄色い可憐なクローバーが咲いていました。