2017年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 401】 by 岡村恭子
VOL.401 PankoとEdamame
torsdag den. 24 august 2017
東向きのキッチンに朝日が眩しく差し込むようになりました。
白夜の頃、真上にいた太陽が少しずつ低く遠ざかって行きます。
ドアの向こうで秋が静かに出番を待っている気配です。
もう少しの間、ドアを開けずに待っていて!…
そんな気持ちでトーストを頬張りながら「夕飯の献立は何にしよう?…」
朝っぱらからあれこれ考えて、さっさと決まってしまえばスッキリ、
そのあとの家事がはかどると言うものです。
デンマークに暮らし始めた頃のことです。
遊びに来た親友がトランクから故郷の味覚を次々と出しながら、
何か不便はないの?醤油は買えるの?お米は?干物なんてないでしょう?
と心配するのを、創意工夫ね、と笑って答えたのを思い出します。
郷に入っては郷に従い、気分は ケ セ ラ セ ラ~♩ です。
当時のコペンハーゲンにはチーズ屋さんやパン屋さん、いつも行列の
精肉店など個人商店がたくさんありました。
中でもお気に入りは古ぼけた八百屋さんでした。
入り口から奥へ路地のようになっていて山積みの野菜の向こうに
エプロン姿のおばさん達が元気に働く、女性だけで切り盛りするお店でした。
全て量り売りなので最初のうちはジャガイモ500gというだけでも
ちゃんと言えるか?と、ドキドキしたものです。
その内、顔見知りになると少しおまけしてくれたり、リンゴを味見させて
くれたり、下町気分の素朴で暖かい人情が通っていました。
紙袋にゴロゴロと玉ねぎを入れてもらい挨拶を交わす。たったそれだけでも
地元の人に混ざって生活しているという実感と満足感に浸れたものです。
そうして、手に入れた身近な材料で献立を工夫したのも楽しい思い出です。
あれから幾年月、最近はお醤油もソースもだしの素も!手軽に買えるように
なりました。そして、この度、ニューフェイスPankoの登場です。
デンマークにもRaspというパン粉があって、これを使うと洋風カツレツなどは
本格的な仕上がりになります。 “ とんかつ “ もRaspを代用していますが、
パン粉のように衣が立たないのがちょっと残念なのでした。
帰国の際にトランクに入れてくればいいだけの話だけれど、
そうまでしてまでも…と言う気持ちです。
お米はイタリア米、パン粉代わりのRaspだって十分美味しい。
が、しかし、ここに来て近所のスーパーの棚にPankoの登場です。
嬉しいじゃありませんか! 醤油=Soyasauce (ソーヤソース)、
大根=Kinaradise(キナラディーサ : Kina=中国) のように訳さず、
そのままストレートにPankoと名乗ったところが気に入りました。
そういえば、Edamameもすっかり馴染んでいます。
eda Ma--me とMにアクセントを置いて語尾を伸ばしたりしない。
普通にEdamame と言うのを聞くと、いいぞ!とニンマリ。
この調子ならパン粉を衣にして揚げた ”とんかつ “ が当たり前になる日も近い!
お次は “とんかつソース “ ね!と密かに楽しみにしています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
Panko と Edamame どちらも近所のスーパーで手軽に買えるようなりました。
夏は明るい庭で夕食です。 Raspを使うとウインナシュニッチェルも本格的!?
週末、家のすぐそばの広場で小さなフリーマーケットが開かれます。
お花屋さんに並んだ花は季節を告げるメッセージ、色とりどりの
ダリアが夏もそろそろ終わりに近づいたことを知らせています。
庭のプラムが熟して来ました。