2017年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 403】 by 岡村恭子
VOL.403 コペンハーゲン生誕850周年 : Golden Days に思うこと。
torsdag den. 8 september 2017
9月2日はコペンハーゲンが誕生して、ちょうど850年の記念日でした。
17日までの2週間はお祝いムード、街中が “ Golden Days “ です。
https://goldendays.dk
連日、数え切れないくらい沢山のイベントが繰り広げられます。
ひと言で850年というけれど、さて当時の日本はどんな時代だったのか?と、
俄か歴史研究家の気分になって調べてみると、
丁度その年(1167年)には平清盛が太政大臣になっていますよ。
…なーるほど。その後間もなく平家は “ 盛者必衰のことわりをあらわす “
ことになるとは知らずに平清盛 云々… という年だったわけです。
歴史は面白い。
それから約500年の年を経て登場するのがデンマークの黄金時代を築いた
クリスチャン4世(1577-1648)です。
北方ルネッサンス華やかなりし時代にあって、大航海時代の繁栄を背景に、
建築好きの王様は次々と壮大な建造物を建てまくります。
アマリエンボー城を始めとする数々の城をはじめ、国会議事堂周辺の
歴史的建造物など、そのほとんどがクリスチャン4世の時代に築かれたものです。
例えば、ラウンドタワーは、当時ヨーロッパの王侯貴族の間で流行った
天体観測にハマってしまったクリスチャン4世が無い物ねだりで作った
天文台だそうですが、星を見るために石畳のスロープを馬車で駆け上がって
行く姿を想像するのは物語のようなロマンがる有るし、
21世紀になった今も観光名所として沢山の人を楽しませていることを思うと、
王様の贅沢はそのまま後世への贈り物だったとも言えそうです。
そして、さらに時が過ぎて、今から150年前の1867年、
この北欧の小さな島国は遠い東洋の島国=日本と通商条約を結ぶのです。
実は、その年は日本にとって歴史的に大きな転換期を迎えていた年でした。
大政奉還です。
徳川幕府が江戸城を明け渡し、徳川300年の幕を閉じ、まさに新しい時代が
始まろうとしていた、そんな大忙しの時に徳川慶喜はデンマークとの通商条約を
交わしたのです。
その時の誓約書のオリジナルがデンマークで大切に保管されています。
残念ながら日本側の書類は焼失してしまったのだそうですが、
150周年記念行事の一環としてデンマーク政府が復元した誓約書を
日本に贈呈したというのは、とても嬉しいエピソードでした。
そして現在、一番身近なところではみなさんの大好きな刺繍も
“ ステッチハウス “ を通じて文化交流の一端を担っていると思います。
こうして身近なところから歴史を紐解くと見えて来るものが
たくさんあるような気がしてきました。
将軍職を辞する前にデンマークと友好条約を結んだ徳川慶喜は
ある意味とても勇気のある政治家だったと言えるのかも知れません。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
王宮、アマリエンボー城の広場。
クリスチャン4世が馬上から人々を見守ります。
Golden Days風景。
主だった公共施設を無料開放、通りは歩行者天国になって人々が集い
昼は子どたちが歴史を学びながら宝探し、夜は若者たちがDJで盛り上がります。
観光客には運河巡りでコペンハーゲンの歴史的建造物を見るのも人気です。
デザインミュージアム : 友好150周年記念 Learning from Japan 展
写真は刀の鍔。引き出しの中に膨大な刀の鍔が整然と並んでいます。
https://designmuseum.dk/udstilling/