2009年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol.27】 by 岡村恭子
VOL.27 小鳥のごちそう
北風が街を吹き抜けて行きます。
道路に落ち葉が舞い積もり、すっかり葉を落とした街路樹が
寒空に裸の枝を揺らしています。
瞬く間に美しい紅葉の季節は過ぎ去り、
本格的な冬がもうすぐそこ迄来ている気配です。
春がやって来る迄のしばらくの間、室内での生活が中心になります。
そんな今頃になると、毎年決まってスーパーマーケットで
幅を効かせ始めるのが少々気の早いクリスマスグッズと、そして
もう一つ、野鳥専用の餌コーナーです。
種類も豊富に取り揃えて、なかなかのバリエーションです。
ペット用品売り場とは別に、季節限定で冬の間だけ特別コーナー展開
されると言う所が、いかにも野鳥用で微笑ましい。
何よりも、激寒の冬を必死にサバイバルする野鳥に心を通わせる、
この国の人々の優しい気持が伝わって来るようで素敵だなあと思います。
夏の間庭のサクランボや苺を啄みに来ていた小鳥達の冬の食事の
心配をする季節到来、というわけで私の買い物リストにも、さっそく
野鳥の餌が加わりました。
餌入れを突くと一回分ずつ出て来るようになった最新式のものから
我が家のように手作り餌箱まで、餌の与え方もいろいろですが、
ボール状に丸めたお団子タイプが手軽で人気のようです。
私もそのお団子をキッチンの窓から見える薮の枝に下げました。
どうやら先方も心得ているようで、毎年同じ場所に設置すると、
誘い合うようにやってきます。いつもつがいで仲睦まじい小鳥もいれば、
雀などは大勢の仲間を引き連れてやって来る。
時には仲間同志で牽制し合ったりしているところを見ると、
彼らなりに勢力争いも有るらしい。
こうして冬の間はキッチンからバードウォッチングというわけです。
散歩の時に注意してみると庭の無いアパートでも、窓枠やベランダなどに
餌を取り付けている所もあります。
公園に行くとわざわざ細かく刻んだパンを袋いっぱいに詰め込んで
鳥たちに配っている人をよく見かけます。
いずれも何気ない日常の1シーンですが、厳しい自然環境の中で人と動物が
肩を寄せ合いながら暮している姿を見るようで心暖まります。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com
ヒイラギの実も真っ赤に色付きました。
ボールの餌の他にもリンゴやひまわりの種など
小鳥達の好物を置いて…。