2019年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 478】 by 岡村恭子
VOL.478 東京滞在日記 1
私の好きな街 駒込
sondag den. 9 juni 2019
ただいまー!
トランクを玄関ホールに置くと、空っぽだった我が家に挨拶して、
そのまま、まっすぐ庭に出ました。
留守中、雨降りが多かったというのが幸いして、芝生も花壇の草花も
瑞々しい姿で私たちを出迎えてくれました。
東京を発ってわずか11時間後にはコペンハーゲンの空の下です。
地球は大きいのか?小さいのか?わからなくなります。
空港に到着したと同時に時計の針を7時間戻します。
東京はもう街じゅうが寝静まっている頃…。
数時間前まで大都会の雑踏の中にいた自分が嘘のようです。
早めの夕食を済ませると時差ボケに負けて睡魔が襲い、あえなくコトン!
前後不覚に眠り込み、案の定、今回も夜中にパッチリ!と目が覚めてしまった。
トランクの荷をほどきながら、出来立てホヤホヤの旅の思い出を紐解きます。
好きな街 駒込。
山手線の駅とは思えない、こじんまりとした改札を出て、
行く先は旧古河庭園、六義園!?
いいえ、私の目指すのは気のおけない友達の家、
でもその前に「しもふり商店街」で買い物です。
昔ながらの個人商店が軒を連ねていて行く度にワクワクします。
八百屋さんで一山200円のナス、豆腐屋さんで出来立ての絹ごしを
買い物かごに入れて帰る姿を想像しながら、実際にはトランクに入れて
持ち帰れる干し椎茸や焼き海苔などを、それでも両手いっぱいにして!
最後にローズマリーの鉢植えを抱えて先を急ぎます。
道すがら、安くて美味しいことで有名な食堂や、小間物屋さんや、
夜になると地元の人で賑わいそうな飲み屋さんを覗くように見やりながら。
この街に暮らしていたらご近所で全て事が足りるだろうなあ、などと
夢想しているうちにいつもの坂道になりました。
大きな街路樹が狭い道にはみ出てしまっているけれど伐採せずに保存している。
という気持ち良いエピソードを思い出しながら、
そのお陰で涼しい木陰ができている道を登ります。
最後の急勾配を登り切って目的地、E-子さん宅に到着しました。
こんにちはー。
開け放たれたベランダから吹き抜けてくる爽やかな風と一緒に、
明るい笑顔が私を出迎えてくれました。
いつでも気軽に尋ねられる友達がいるのはなんと素敵なことでしょう。
毎年2回、里帰りを兼ねての東京行きですが、
年齢を重ねて身の回りの環境も変化し、日本に「実家」と呼べる場所が
なくなった今、自分の居場所はコペンハーゲンの家なのだ、と
そんな当然のことを再確認しつつ、「心のふるさと 日本」を味わった
楽しい日々でした。
次回は久しぶりの横浜のことなど。お楽しみに!
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
しもふり商店街には人懐かしい雰囲気が漂っています。
もうあと少し…と頑張って坂道を登る筆者。
街が一望できるベランダにはE-子さんが丹精込めたプランターが。
夕暮れ時、キャンドルが灯されたテーブル。