2019年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 484】 by 岡村恭子
VOL.484 見られたい?見せたい私の住まい
airbnbという民泊システム
søndag den. 21 juli 2019
隣家の庭がにぎやかです。幼い女の子が水遊びをしているのか?
可愛らしい、でも、聞きなれない言葉が耳に入ってきます。
どこか東欧の国の言葉かな?
きっと、airbnbを利用して宿泊しているのでしょう。
airbnbはイギリスでスタートした民泊システムです。
例えば、旅行などで長期留守にする時などに自宅を民泊として提供する。
利用者はホームステイ感覚で、住居空間を自由に使って過ごせるという、
双方の利便性が受けて忽ち世界中に広がったようです。
デンマークのサイトを見ると、いかにも北欧テイストのインテリアの
住まいが沢山アップされています。
写真ページをめくりながら、こんな場所なら私も数日間過ごしてみたいなあ…、
なんて旅行者気分になって結構楽しめます。
… 「見知らぬ人が出入りするけれど心配ないように。」
いつだったか、お隣りのご主人がairbnbに登録したと教えてくれたのです。
以来、夏休みなど長期休暇で留守の時などに、上記のように
ちょっと聞きなれない言葉が庭越しに聞こえて来たりするのです。
大抵は家族連れで、庭に洗濯物が翻り、子供が犬と走り回っている!
(犬もOKという条件はかなり高ポイントだと思います。)
アットホームなバカンスを過ごしているのが伝わって来ます。
時を同じくして、お隣さんもどこかのairbnbで休暇を過ごしているの
かもしれません。
このシステム、一時日本でも話題なりましたが、
その後は管理などのトラブルもあって、あまりスムーズではないと聞きました。
確かに、プライベートのスペースを本人不在の時に、見ず知らずの人に
貸し出すのですから、抵抗感があるのではないでしょうか?
安全面でも不安があるし、私はできないなあ。。。
それで思い出すのですが、デンマークにきたばかりの頃、
人の家に招かれると、ようこそ!と家中を案内してくれるのにびっくり!
隅から隅まで、寝室も開けっぴろげです。そして、たいていの人がキッチン自慢。
そんな風に自分のライフスタイルを隠さず、ありのまま見てもらうことで、
お互いの気持ちがさらに打ち解けられる、ということなのだろうと思います。
その延長線上で、民泊として提供することにも抵抗感がないのかもしれません。
加えて、デンマーク人は元々コレクティブ(=コーポラティブ=共有する)の意識が高く、
普段から(とくに住宅難の都市部では)住宅を数人でシェアリングしたり、
広めのフラットをルームシェアすることも多いのです。
仲良しが集まる時も、日本のようにお店に集合!ではなく、お互いが
お互いの家に招び合います。インテリアに対する意識が高いのもこうした
日常のライフスタイルが反映しているのです。
人に見られる、という意識は大切だと思います。
デンマークの人にとって、インテリアは住み手のセンスを発揮する場、
招かれる方も承知していて、テーブルに飾られた季節の花を愛で、
新たに加わったインテリアアイテムを目ざとく見つけると、
よくぞ気がついたという風に入手の経緯をひとくだり。そんな会話を楽しみます。
“見られたい。見せたい 私の住まい!”
airbnbに抵抗感ない理由の一つは その辺にあるような気がします。
(詳しくは https://ja.airbnb.com 参照 )
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
全て 街角スナップから、
コペンハーゲン市内には保存住宅も多い。
内部をリノベーションしたり、新たにベランダを加えたり。
さまざまな工夫をして快適空間を生み出しています。
狭い庭も工夫次第で美しく!
街並みを引き立てる外観にも住み手のセンスが。。