2010年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 58】 by 岡村恭子
VOL.58 知恵の果実:リンゴのお話
torsdag den. 12. august 2010
朝晩涼しくなって来ました。秋がそこまで来ている気配です。
夏の間次々と白い花を付けていたマーガレットは色あせ、その代わりに
シュウメイ菊が紫陽花の植え込みの間から薄桃色の花びらを覗かせています。
お友達にもらった朝顔の種、良い日を選んで…などと一日延ばし。
七夕の日に撒いたのですが、遅すぎたかしら?ようやく20cmくらいに
なりました。果たして花を付けてくれるのでしょうか?
某日、一冊の本を頂きました。
*「奇跡のリンゴ」
カラリと晴れた昼下がりに、桜の木陰でのんびりと読みました。
より甘く、より大きく、より美しく…と品質改良を重ね、行き着く所まで
来てしまった感のあるリンゴを本来の姿に戻すまでの物語です。
いわば苦労と感動の記録ですが、主人公の木村さんが本当にリンゴを
愛しているということが伝わって来て、読み進むほどに応援したくなって
行きます。長年の彼の苦労と熱意に応えるように自然が蘇生して行く
あたりでは、良かったね!木村さん。とすっかり一心同体化し、
そうよ!自然栽培が一番!と大きく頷いたのでした。
彼は虫たちにも優しい眼差しを向けています。
『リンゴに住みつく害虫をよ~く観察したらとっても可愛い顔をしている。
反対に害虫を食べてくれる益虫は獰猛な顔つきをしている。
リンゴを食べる虫はベジタリアンで、益虫は肉食。虫たちにとっては
益も害もない。みんな必至で生きています。』
読者の私は目からウロコが取れる思いです。
何事も一方的な角度から捕えて判断してはいけない、と言われたようで
常日頃の我が身を振り返りハッとします。
木村さんのリンゴ園には雑草が生い茂っている、と著者は驚嘆しているけれど
私は驚かない。逆に“ウチもです!”と言いたくなる。我が家のリンゴの
老木も下草が茫々とした中で、今年も沢山の実を付け始めています。
おまけに正真正銘無農薬自然栽培。ほとんど野生化しているとも思える
くらいの放ったらかし!歪で虫食いだけれど、かじるとシュワッ!…
甘酸っぱい香りと一緒に果汁が弾けます。
娘は買い求めたリンゴとの味の違いを「ウチの味」と言って、幼い頃から
賞賛して来ました。私は若い頃にロシアの上空で飲んだリンゴジュースの味に
そっくり…と思って来たのですが、実は木村さんもロシアの飛行機で出された
ジュースに感動したとか…。
そんなわけで、もしかしたら彼の農園のリンゴは我が家のリンゴと同じ味が
するのかも知れないな…なんて、ちょっと自惚れてみました。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
*「奇跡のリンゴ」 石川 拓治(著) 幻冬社刊
我が家の『知恵の果実』赤くなるのが楽しみです。
青い朝顔の花が咲くはずなのですが。。。
蜘蛛の巣を払いながら、幾何学模様に感心する毎日です。