2010年9月
TOPICS ! フレメカレンダーの50年 <その2>
soendag den. 19 september 2010
フレメカレンダーの50年 フレメ協会誌より (一部省略)
Edith Hansenは刺繍デザイナーとしてフレメのHaslev手工芸学校で教育を受け、
1959年にフレメの刺繍のセクションで働き始め、フレメの学校やセミナーで教鞭を
とりました。
彼女の最初のカレンダーは1974年「木」です。幻想的な木々と木漏れ陽が描か
れ、シルバーやゴールドの糸が独創的に使われています。彼女の色彩センスは
すばらしく、落ち着いた色と明るい色をバランスよく使うことができます。
Edith Hansenはデザインする際にコラージュを使います。そのために1986年
「モザイク」に代表されるようにモザイク画のようなものが多くあります。
1988年「野原や庭、海岸の花」でも小さな紙を切り取って、コラージュを
作っています。花々と木々の枝が季節ごとの表情を見せています。1994年
「フラワーバスケット」では美しい花籠をデザインしており、それが最後
となりました。
デザイナー、画家、陶芸家であるBjoern Wiinbladは1973年「灰色と金色の日々」
をデザインしました。
彼は以下のように序文を寄せています。
「1年というものが何を含み、どうすればそれをベストに表現できるかということを十
分に考えました。そして「灰色と金色に彩られた日々」というアイデアをベースにして、
雰囲気や色合いの違う各12の月を作品に仕上げました。」
1995年「H.C.アンデルセン」では4つのアンデルセン童話をモチーフにしたデザイ
ンをしています。「雪の女王」、「羊飼いの娘と煙突掃除人」、「親指姫」、「もみの木」
です。それぞれの童話ごとに共通した色彩を使い、描かれているシーンが花の中か
ら生まれているようにデザインされています。
マルガレーテ女王陛下の最初のカレンダーは1978年「デンマークの天気」です。
序文を以下のように寄せています。
「デンマークの1年というテーマを思うと、いつも変わりやすく予想が難しい天気の
ことを考えずにはいられません。太陽と雨、強風と無風状態、3月に暖かく、5月に
寒くなったり。8月に風が強く、晩秋はとても穏やかに陽光がさしたり・・・私自身が
各月の特徴を表すと感じたものをセレクトしました。これらによって、皆さんにもデン
マークの1年を思い浮かべていただけることを願っています。」
1984年「愛し合うカップル ホルベアの時代―昔のコペンハーゲン」では、デン
マークの劇作家Ludvig Holbergの時代のコスチュームを着た若いカップル、レンダー
とレオノラをデザインしています。
インスピレーションはSoenderborg城での記念展示会で見たアンティークのウィッグ
ケースの蓋に描かれた絵からとられました。
女王陛下はコスチュームやヘアスタイルや帽子、靴など細部までを描写できるよう
にステッチを慎重に考えられていました。
2004年「ファンタジックな古代ケルトの模様」ではモチーフは3つのパートに分か
れていて、そのリズミカルなレイアウトをクロスステッチにするのはとても素敵だと思
われたそうです。
以下のように序文を寄せています。
「クロスステッチをすることはとても楽しく、そう思う人が多いと思います。自分の手に
よって進んでいく仕事は、裏切られることなしに、最終的には、ランチョンマットや枕
カバーなどに仕上がっていくのを見届けることができます」
モチーフは7Bに1本どりでステッチされます。女王陛下はちょっと粗い印象のあるリ
ネンにデリケートな糸でステッチしていく感触がとても好きなので、小さなステッチが
織りなす形を大切にしましたと語っています。
序文の最後には以下のように書かれています。
「長時間の労作である刺繍をきれいなままとっておきたい人が多いと思います。でも
私はそれらをフレームやグラスの中にしまっては残念だと思います。その作品に触れ、
感触を楽しむことが大切だと思います。糸や麻布に光があたって輝いた時ほど作品
が美しく見えることはないのです」
鳥や動物はあまり頻繁にカレンダーには登場していませんが、鳥は3回登場してい
ます。
1969年「木の上の鳥」はElse Thordur Hansen、1976年「黒と白の鳥」はClaus
Beringによるデザインです。
以下のように序文を寄せています。
「子供の時に麻疹で寝ていた時にクロスステッチを習い、早くに治ってしまったので
仕上がらなかった刺繍のキャンバス地や針や糸、ハサミなどが古いブルーのキャン
ドルボックスに、今でもまだ入っています」
また、デザインしていくプロセスをこう振りかえっています。「鳥を紙に描くというのは
できるだろうか?無理だろうか?もちろん可能だろうと考えました。たくさんの鳥の
ポートレートを描くことはとても楽しかったです。」
1993年「デンマークの鳥」はMads Stageが12のデンマークにいる鳥たちを素晴らし
い水彩で描き、とても美しいクロスステッチ作品となっています。
1980年「鳥と花」はKamma Svenssonがデザインしています。四季折々の様子は写
実的ではないですが、とても特徴のあるデザインです。クロスステッチデザインが初め
ての体験だった彼女を手助けしたのはGerda Bengtssonでした。
動物のモチーフは1970年「動物園」をRuth Christensen、1968年「星座」は陶芸家の
Lars ThirslundとMarianne Herlufsdatterがデザインしています。
(次回に続く。<その1>2010年6月19日 T.I)
フレメ前協会長
Lise Lind Jensen