2009年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol.1】 by 岡村恭子
Vol.1 ごあいさつ
最初から昔話で恐縮ですが、
私が小学生の頃には家庭科で「運針縫い」の練習というのがありました。
何枚か折り重ねた白いさらしに線を引き、その上を赤い糸で縫って行くのです。
ところが、出来るだけ等間隔に、線からはみ出さないようにと、
頑張ってもなかなか思うように出来ません。
針が指先をチクリ!とすると、痛さが頭のテッペンまで突き抜けて、
その度に椅子からお尻が2センチくらい浮き上がり、握りしめた布は汗で
しんなりぐったり…。不揃いの赤いステッチはどう見ても上出来とは
言えませんでしたが、どうにか仕上がった時はやっぱり嬉しかったものです。
ずいぶん昔の事なのに、こんなに鮮明に覚えているのですから、
あの時の私は不器用なりに一生懸命だったのだろうと思います。
でも、針で指先を刺しては「運針縫い」の手を引っ込めてしまった
少女時代を思い出すと、今でも「イタッ!」と声が出てしまいそうです。
だから、というわけでも有りませんが、針仕事はどうも苦手です。
そんな私が「ステッチハウス」にブログを連載する事になりました。
何を書いて行こうかしら?と思案しながら、シャベルを片手に庭に出ます。
考え事をする時は庭仕事が一番なのです。
桜が散り始めて、芝生の上に粉雪が舞っているようです。
桜が終わるとリンゴの花、そしてライラックと続きます。
春先に枝を切りそろえておいたバラも元気な新芽を出し始めています。
春から初夏の姿へと少しずつ衣替えが始まりました。
シャベルを後ろ手にしたまま、色とりどりに咲いた花を眺めていたら、
ふと、庭仕事は刺繍の世界と似ているような気がして来ました。
様々なモチーフを図案化し、何色もの糸を刺し込んで完成させる刺繍の
ように、私は庭の手入れをします。
花が咲く頃を想定しながらタネを蒔き、配色を考えて草花をレイアウト
して行く作業は、私にとってのクロスステッチかも知れません。
これから毎週一回の予定で庭からのメッセージや折々の事などを
思いのままに綴って行きたいと思います。
刺繍の合間にお楽しみ下さい。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
バツバツ…ブルーの糸で刺したらこんな花が出来そうです。
“いろんな色入り”の球根ひと袋。ほんとに色とりどりに咲いてくれました。
これは新種。薄い紫のトリミングが美しい。