2009年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol.2】 by 岡村恭子
VOL 2*手書きの楽しみ*
地下室の片隅に「古い手紙」と走り書きした段ボール箱があります。
私がデンマークで暮し始めた1980年以来、届いた手紙を
年ごとにひと纏めにしては、順に詰め込んできた思い出の宝箱です。
そんな中から当てずっぽうに取り出した一枚が、今はもう居ない人
からの便りだったりすると、懐かしさに胸がキュンとしめつけられます。
例え葉書一枚でも、遠路はるばる届いたエアメールはそれだけで
嬉しいものです。
ところが、E-mailが登場してからというもの、送られてくる手紙の数が
めっきり少なくなり、今では年ごとにまとめる程の事も無くなって
しまいました。メディアの普及は私達の生活を一変しました。
気付けば私もせっせとE-mailを“送受信”する毎日です。
一度手に入れた“便利な道具”は手放せません。しかし、
そうなると「無いモノねだり」。昔ながらの手紙に今更のように惹かれます。
私は、原稿や大切なメールの下書きは手書きでします。
文字を“打つ”のと“書く”のとでは、思い浮かぶ内容も
微妙に違ってしまうような気がするからです。
今頃なら庭先のテーブルで。
ノートを開き、ボールペンをもてあそびながら、時間をやり過ごして
いる内に書きたい事の輪郭が現れてくる。そういうひとときが好きです。
この先、世の中がもっともっと便利になって、SFの世界のように
なったとしても、何処かの誰かさんから手紙が届きますように…。
私も“手書きのお便り”をしたためたいと思います。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
あらっ?書きかけて何処かにいってしまった。
http://suijincph.exblog.jp/
リンゴの花が咲きました。