2012年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 125】 by 岡村恭子
VOL.125 皆が利用出来る”身近な福祉”
torsdag den. 9 februar 2012
先週まで家のメンテナンスで工事の人が出入りしていたのですが、
ようやく一段落です。少々痛んでいた箇所を修繕しただけですから、
傍目には何処を直したの?という程度ですが、毎日暮らしている身には、
ずっと気になっていた虫歯を治した時の様にすっきり!
建物に成り代わって?軽やかな気分です。
住宅というのは住み手の気持ちを反映するような気がします。
きれいになったと喜んでいると、家もニッコリ笑ってくれるような気がします。
我が家は築70年以上の言わば “ お年寄り” です。これからも優しく
労ってあげなくてはいけないな、とあらためて思います。
そんな訳で、慌ただしくしている内に一月は過ぎたものの、
北欧の2月はまだ冬の真っ最中、寒いトンネルから抜け出るには
もうしばらくの辛抱我慢です。家のメンテナンスも一段落してしまい、
ちょっぴり退屈な週末、散歩がてら シーズンオフの 美術館に行ってきました。
ハイシーズンは観光客で混雑するスポットも今の時期は静かです。
中でも私のお気に入りはglyptotek美術館(VOL..114参照)です。
ここはいつでも常春状態、おまけに日曜日は無料(特別展は有料)、
地元民の格好の散策コースになっています。大きなヤシの木が生い茂る
エントランスホールには赤いハイビスカスの花が咲き、美術館というよりも
植物園のようです。人々は芸術鑑賞も何処へやら、ベンチに腰掛けて
おしゃべりしたり、池の鯉に喜ぶ子供の姿に目を細めたり、さながら明るい
季節の公園、市民の憩いの場という雰囲気に溢れています。
このglyptotekから徒歩で数分、国会議事堂にほど近い所には国立博物館が
有ります。入り口には館内用のベビーバギーが並び、小さな子供連れでも
安心して見て回れる様配慮されていますし、 子供達の為のワークショップや
イベントが開催され、いつも家族連れで賑わっています。
このように美術館に限らず、デンマークの公共施設は誰でも気軽に利用
出来るように工夫されています。図書館もとても便利です。
ほとんどの図書館は日曜日オープンですし、カフェを併設している図書館では
思い思いにPCを開いたり、新聞を広げたり…静かな環境で誰にも邪魔されず
ゆっくりとした時間を過ごすことが出来ます。
本以外にも映画のレンタルシステムも利用出来ます。何れもインターネットで
在庫状況を確認し、希望リストと利用図書館名を書き込んでおくと図書館側が
手配してくれます。届いたという知らせを受けたら指定図書館に受け取り行く。
オンライン化で蔵書管理を徹底簡略化し、ネットワークを活用して限られた
ストックを上手に回転させているのです。
更に図書館まで足を運べない人や文字の読めない人の為には本の朗読も
ダウンロードして聴けると聞いた時には、さすが福祉先進国だと
感心した次第です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
glyptotekのエントランスホール、大きなガラスドームの中は常春です。
絵画以外にもエジプト、メソポタミアなどの発掘品など充実の内容です。
国立博物館にて。これなら赤ちゃん連れでも安心ですね。