2012年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 129】 by 岡村恭子
VOL.129 前向きにクロスステッチ
torsdag den. 8 marts 2012
大震災から一年が過ぎようとしています。
皆がそれぞれの立場で様々な思いを胸に過ごして来たこの一年ですが、
これからは、前向きに明るい暮らしを思考して行く事が復興への近道では
ないかと思います。
5月に東京で開催されるステッチハウスのイベントお知らせを見て、
仙台Vi sesさんの作品展のタイトルに心惹かれました。
『花糸で描く~ひと針からの復興~』展。
ひと針ずつ思いを込めて作品作りに励まれている皆さまにエールを送ります。
早春は三寒四温。重ね着したセーターを脱いだり着たりしながら
私は春を迎えるための庭仕事を続行中です。
落ち葉の下からムスカリやチューリップが発芽し始めています。
土の中で小さな生き物達が外の様子を伺っているような気がします。
「春」の下に「虫」が二匹で「うごめく」=『蠢く』
辞書にはムクムクと少しずつ動き出す様、とあります。
春になって虫達が動き出す様子を実に上手く表現したものだと感心します。
デンマークで生まれ育った娘は学校から帰るとキッチンのベンチに陣取り、
おやつ片手に父親手作りの漢字ドリルに挑戦するのが日課でした。
お友達とバイバイした途端にデンマーク語の世界から日本語の世界です。
大変かな?と思っていましたが、彼女にとって漢字の練習はクイズやパズルの
ような楽しさが有ったようです。
にんべん、さんずい、くさかんむり、など部位だけで文字の意味を推測でき、
時にはひとつの文字がそのモノの姿カタチを表現していることもある。
「魚」という文字は確かにサカナに似ています。彼女の頭の中では文字が
サカナになって泳ぎ出したりしていたのでしょう。
「ツクリ」や「ヘン」などを正しく組み合わせ、文字を完成させるのはちょっぴり
レゴと同じ感覚かな?と思いますが、どうでしょう? いずれにしても
何事も楽しみながら習得する事が一番の早道に違い有りません。
デンマークの人に当用漢字だけで1800文字以上有ると言っても俄には信じて
もらえません。その上、平仮名を組み合わせて音読み訓読みを使い分けると
言ったら理解の範囲を超えてしまいます。それを日常何気なく使いこなしている
私達はかなり “ スゴイ!” のですが、デンマーク語は日本語と違う意味でややこしい。
この難解な2カ国語の狭間で30年、未だにデンマーク語を使用する際には辞書と
にらめっこです。
今回の写真は文字のお話に相応しいブラックダイアモンド=王立図書館です。
デンマークの最大の規模を誇る図書館は 早春の抜けるような青空の下、
運河をバックに硬質な輝きを反射させていました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
運河に乗り出す様に建つブラックダイアモンド。
ガラス張りの明るい館内。
女王陛下御在位40周年を記念してイラストが展示されていました。
ヘビースモーカーの女王様とご主人にお小言の女王様。ダニッシュユーモア!