2012年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 130】 by 岡村恭子
VOL.130 春の『ペンキ塗り日和』
torsdag den. 15 marts 2012
このところ毎日良いお天気に恵まれ、例年より早めの春本番となりました。
庭の草花達も高速度フィルムを見るように刻一刻と成長し、ニョキニョキ、
スクスク…。そんな音まで聞こえて来そうです。
毎年この季節になると私はわけも無く焦ります。
北欧の春というのは細胞が冬眠から目覚めたように俄に活性化して、
とにかくジッとしていられない気分になります。
リンゴの枝の剪定もしたいし、裏庭の薮もなんとかしなければ…でも
その前にペンキ塗りもしたいし…と、庭と家の内外、あれもこれも、と
頭の中は山盛り状態。片っ端から片付けて行きたい衝動に駆られます。
しかし、さすがにペンキ塗りは一人では無理なので、家人のヤル気が
出た時が我が家の『ペンキ塗り日和』、彼が刷毛を手にしてくれたら
シメタものです。その気の変わらぬ内にその他の事は全て返上で
ペンキ塗りデーとなります。
先週末の朝でした。家人が地下室からペンキの道具一式とハシゴを運び
出して、どうやらやる気満々のようです。私もこの時とばかり庭ほうきを
刷毛に持ち替えて、さあ、数年ぶりに我が家のペンキ塗りスタートです。
今回は玄関ホールです。ホールだなんて大げさな呼び名だと思いますが、
我が家には畳4枚程のレンガ敷きの“ 玄関 “ の隣に、ちょっと面白い空間が
広がっているのです。大理石の床、天井まで続く大きな窓、突き当たりの壁には
暖炉がはめ込まれている。部屋というには細長くて半端なスペースです。
この家に暮らし始めた頃から用途不明のまま、いつの頃からか “ 玄関ホール “と
言うようになり今日に至っています。説明が長くなってしまいましたが、
その “ 玄関ホール “ のペンキ塗りです。
人件費の高いデンマークでは室内のペンキ塗りはDIYが常識です。
商店街には必ずペンキ屋さんが店を開いています。通りの向かい合わせで
店開きしている事もありますが、それでも商売が成り立つ。それくらい
みんなペンキ塗りをします。( 賃貸アパートは引き払う際にペンキを塗って
きれいにする義務がありますから、この国の人はみんな慣れたものです。)
さて、今回は珍しく娘も参加してリクレーション気分です。
ペンキ塗りは下仕事が肝心です。あらかじめ壁を掃除した後、はみ出し防止の
テーピングをし、床や家具にはビニールカバーをします。こういう下仕事さえ
しっかりしておけば後は楽しい作業です。刷毛を手に好きな所から攻めて行きます。
スーッと白いペンキを塗った時の気持ち良いこと。
最後のひと塗りが終わった時には一種爽快な達成感です。
玄関ホールが軽やかにリフレッシュしました。
その翌日は用事もないのにホールを覗きに行ってばかりいました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
柔らかい春の陽射しの中で早春の花も気持ち良さそうです。
今回のペンキ塗り before & after。