2012年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 133】 by 岡村恭子
VOL.133 4月、門出の季節に寄せて。
torsdag den. 5 april 2012
只今ヨーロッパは春のGW = イースターホリデーです。
キリストが復活したイースターサンデーに前後して一週間程の飛び石連休です。
一年中で最も暗く寒い冬至の頃にクリスマス、そして明るい春の訪れと共に
イースターを迎える…、何れも絶妙のタイミングで、厳しい自然環境に
暮らす北欧の人々にとって大きな喜びです。特に暖房も乏しかった頃を想像すると、
春を告げる復活祭はさぞかし歓喜に満ち溢れた事でしょう。
まさにイエスキリストは救世主と言えそうです。
イースターの休暇前にオフィスに顔を出して来る、という家人と一緒に
久しぶりに私も出かけることにしました。
自宅から離れたところにオフィス兼ショールームが有るのです。
仕事柄図面を作成する時やミーティングのある時以外は自宅で仕事を
しているので、毎日出勤する必要がありません。
時間に縛られる事も無いので端から見たら暢気に見えますが、
本人曰く芝生を刈りながらも新たなデザインを考えているのだそうです。
その彼がデンマークデザイン学校時代からの友人エリックとオフィスを
設立して、もうすぐ40年になろうとしています。
今では数少ないいわば老舗のデザインオフィスになりました。
お互い夫婦よりも長い付き合いだと笑っています。当時若干24才だった
わけですから、まったく、どこにそのような勇気があったのか?と思います。
エリックは日本語が全然ダメ、家人は未だにデンマーク語が苦手です。
その二人が長年にわたりどうやって運営して来れたのか?という事は
一冊の本になるくらい、本当に愉快な物語になりそうです。
特に1970年代にはるばる日本から北欧にやって来た家人の思い出話は、
そのまま武勇伝的青春面白ハプニングの連続です。そして、毎回話を聞くたびに
可笑しくてお腹を抱えながらも、結局、自分に主体性を持って生きる事が
大切なのだと痛感します。
丁度、今は新学期、新社会人スタートのシーズンですね。若い人達が
将来の夢を目指しながら、新しい環境の中で現実に直面して失望する事も
有るかもしれませんが、そういう時にこそ少し視点を変えてみるのも
良いかも知れません。
24才の時にコペンハーゲンの片隅でデザイナーとして産声を上げた家人の
青春談義を聞く度に「人生に不可能は無い」と思えてきます。
そういう私は彼が生活している国にやって来て、そのままのんびりと暮らして
来たわけですから、実はあまり偉そうな事は言えないのですが…。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
オフィスショールームの様子。
ショールームのオレンジの木。一年中花が咲きオレンジの実がたわわです。
裏庭のレンギョウが満開になりました。
庭に来る新顔ネコちゃんです。ミンゴス君(VOL.110)に似ているけれど違います。