2012年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 134】 by 岡村恭子
VOL.134 蚤の市探訪記
torsdag den. 12 april 2012
先週のイースターホリデー、後半はぐっと冷え込み、
低い空から時折冷たい雨に混ざって白いものが舞い降りて来る、
あいにくのお天気となってしまいました。予定していた庭仕事も
お預けです。こういうチャンスに、と以前から気になっていた蚤の市に
出かけてみることにしました。
コペンハーゲンでは春から秋にかけて毎週末になるとあちこちの広場で
蚤の市が開催され観光名所にもなっています。
一見ガラクタの山からビンテージのデザイングッズなどを見つけた時は、
それが例え小さなグラスひとつでも嬉しいし、こんな所で私を待っていて
くれたのね、という出会い的な喜びがあり、なかなか楽しいものです。
今回行ったのはデンマークが海運業盛んだった頃に造船所のドックだった跡地。
自称 “ 蚤の市フリーク “ の私でさえ知らなかった無名の?マーケットです。
今まで全然話題になっていない、ということは大した事が無いのかもしれないし、
逆に知る人ぞ知る穴場かも知れない。とにかく百聞は一見にしかずです。
ドックの跡地はオペラハウスの近所で、対岸には王宮も臨む素晴らしい
立地なのにも関わらず、全くの放置状態の荒れ地です。
きっと夏草の茂る頃ならそれなりの情緒があるのでしょうが、出かけた日が
海からの北風に冷たい雨という事も手伝って、そこがコペンハーゲン市内とは
とても思えない、荒涼とした風景が広がっていました。
でも、こういう場所にこそお宝が隠されているものよ、と、ワクワクしながら
大きな倉庫に不相応な小さくて歪んだ木製のドアを開けたのでした。
古いモノ特有のすえたような匂い、無造作に高い天井まで山積みされた
テーブルや椅子、その合間に食器や日用品や電気製品や、それこそありとあらゆる
ガラクタが埃をかぶったまま、幾重にも重なっています。
時折、店番の人が珈琲を入れてジャズを聴いていたりしますが、売る気は
サラサラ無い様子です。
家族連れやカップルが家具を見て回っていますが、 皆なぜか静かで、
売り手と買い手が値段交渉したり、賑やかにおしゃべりしたり、という
蚤の市独特の楽しい盛り上がりに欠けています。
私が欲しいなあ、と思うような小さくてステキな掘り出し物は皆無。
ひたすら堆く古い家具が積み上がられている所を見ると、普段はガラクタ屋さんの
倉庫になっているのかもしれません。
どうりで話題にならない訳だと納得し、頭の中の “ 蚤の市リスト “ に×印を付けて、
早々とその場を後にしたのでした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
庭にも春がやってきました。次々と咲き始めた花が愛らしい。
庭に蚤の市から。広い倉庫の中がガラクタでいっぱいでした。