2012年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 136】 by 岡村恭子
VOL.136 自転車優先都市-コペンハーゲン
torsdag den. 26 april 2012
4月も最終週末を迎え、桜の蕾がほころび始めてきました。
毎朝桜の開花状況をチェックしては心ときめいています。
庭にはプラムやリンゴの花だって咲くというのに、桜の花にだけ何故か
特別に心が揺さぶられてしまう。これは一体どうしたわけなのでしょう?
そんな事をぼんやりと考えながら桜を眺めている夕暮れ時…といっても
時計を見れば既にPM7:00、まだまだ太陽は明るく西の空で笑っています。
そうなのです。北欧は日増しに日照時間が長くなり、今頃から夏が過ぎる
頃までは夕食後も明るい陽射しが眩しいくらいです。真っ暗だった冬の正反対。
本当に嬉しい季節です。朝も5時頃から明るいですから、急にみんな活動期に
入った動物よろしく戸外で過ごします。
そして、嗚呼、自転車のペダルを漕いで風を切ると気持ちの良いこと…
そんな初夏に向かいコペンハーゲン市では『自転車優先都市』を改めて宣言、
只今キャンペーン中、その目標が半端では有りません。
*2015年までに通勤通学の50%を自転車利用者にする。
*2025年までに所要時間15%短縮を目標に自転車専用道延長。
*必要個所にタイヤの空気入れ、パンク応急処置コーナーを設置、
*交通量の多い場所は自転車専用道を2車線にする。(既に実験中)
*旧市街地とオペラハウスのある区域 : クリスチャンスハウンを結ぶ
自転車&歩行者専用架橋計画が進行中。
…と、まあ、このようにとても前向き、且つ実際的プランです。
同市もご他聞に漏れず車の渋滞と駐車場不足が頭の痛い問題なのですが、
通常なら車道を拡張したり幹線道路を整備したりする所を逆に『車なんか
乗らなくたって自転車が有るさ!』と言うわけです。
ちょっぴり開き直りに?にも聞こえるけれど、年々旧市街地への車の乗り
入れが厳しく制限される一方で、サイクリスト状況は世界一の自転車都市
アムステルダムを抜いた、と自慢している所が微笑ましいではありませんか。
先日は自転車通勤者に朝食を配るというキャンペーンまで登場、なんと、
朝のラッシュ時に走行中のサイクリストにパンの袋を手渡しているのです。
危険だからダメです!という意見は何処からも聞こえず、みんなニコニコ。
主催者側は至ってご機嫌で、『おはようございまーす!さあ、みなさん
毎日自転車に乗りましょう!』という感じでした。
私がデンマークに暮らし始めた頃、人々が自転車ごと電車に乗り入れて来るのに
ビックリした事を思い出します。当時から各駅に大型エレベーターが完備していた
という事ですし、他にも自転車専用道路(VOL.67 「自転車というエコツール」参照)
など基本的なインフラが完備しているからこそ可能な『自転車優先都市宣言』と言えそうです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
桜の蕾がほころび始めています。艶やかです。
これはプラムです。白い可愛らしい花が咲きます。
新聞記事から。『サイクリストに朝食を!』のキャンペーンの様子です。(新聞:Lokalavisen Amager)