2009年5月
カンヌ映画祭
fredag den 29. maj 2009
カンヌ映画祭でその衝撃シーンが話題となったデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督の新作「Antichrist」。映像・音楽の美しさ、ウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブール(主演女優賞受賞!)の名演に賞賛の声がある一方、その暴力や性の表現をめぐっては賛否両論。見た感想は、他の人も言っているように「誰にでも薦められる作品」ではなかったですが、60、70歳代のデンマーク人が「素晴らしい傑作」という声を多数寄せているのには驚きました。ストリンドベルイ/イングマール・ベルイマン(スウェーデンの劇作家/映画監督)の作品に言及する人もいて、人間のディープな部分が描き出されることに北欧の人は慣れているのかもしれません。テロップでは「アンドレイ・タルコフスキー監督に捧げる」となっていましたので、その辺りの作品が好きな方にはお薦めです。25日現在、日本では公開未定です。
また、映画祭のクロージング作品となった映画「ココ・シャネルとイーゴリ・ストラヴィンスキー」でストラヴィンスキー役を好演したMads Mikkelsenもデンマークを代表する俳優。90年代、ラース・フォン・トリアー監督などによりデンマーク映画界全体が盛り上がり、ストーリーや俳優の演技を重視する撮影技法が提唱されました。そこで鍛えられた俳優たちが活躍の舞台を世界に広げているようです。(T.I)
カンヌで。ウィレム・デフォーとラース・フォン・トリアー監督、主演女優賞を受賞したシャルロット・ゲンズブール
「ココ・シャネルとイーゴリ・ストラヴィンスキー」