2013年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 183】 by 岡村恭子
VOL.183 学校がロックアウト?!
torsdag den. 4 april 2013
今年のイースターホリデー、前半は小雪がちらついていたものの、
後半は好天に恵まれ、明るい陽射しの下で春を満喫することが出来ました。
そんな長閑なイースター明けの朝、『全国の学校がロックアウト』という
何やら不穏なニュースです。学校がロックアウトだなんて、一体どういうことなの?
と、半信半疑の私に答えるかのように、首相のHelle Shcmidt女氏が
記者会見に臨みました。
「我が国では労働者はストライキをする権利、雇用側にはロックアウトをする
権利が有ります。今回は雇用側が権利を実行した結果、休校になりますが
全ては国の将来を担う子供達の為のステップなのです。」と、胸を張って
コメントしていました。デニッシュデモクラシーが健全に機能している証しだと、
笑みさえ浮かべて余裕です。
そもそもの発端は教育委員会と教員組合の意見の食い違い。
大雑把に言えばお役所的な理想主義と、現場の先生との考え方のギャップが
原因のようです。
ここ数年続いている子供達の学力低下問題の解決案として、教育省が
提案した新しい教育方針(=授業時間延長案)に教員組合が合意せず、
話し合いはお決まりの平行線を辿って結論が出ず終い。このままでは教員が
ストライキを決行する…という絶妙のタイミングで行政側が先手を打って
ロックアウトに踏み切った、という図式のようです。
学校から閉め出された先生達は負けじとさっそくデモ行進ですが、
それが結構楽しそうだったりするのです。
そういえば…と、娘の小学校時代を思い出しました。授業時間は短いし、
時には自由すぎるようでハラハラすることもありましたが、子供の個性を
尊ぶ教育の現場を垣間見て、目が覚めるような思いをした事が何度も有りました。
その辺の事は、拙著『ヤコブセンの家-桜日記』(プチグラパブリッシング刊)に
詳しいので、興味の有る方はどうぞお読み下さい。
今回も既に先生と生徒の間で問題が討論がされているんだろうな、と
想像がつきます。教育という最もライブで重要なテーマについて自分なりに考え、
クラスで話し合う。意見を交換する。先生も生徒もお互いの立場で主張して
さぞかし議論が白熱していそうだな…、そう思うと、
ロックアウト騒動も広い意味で教育の一環のような気がして来ました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
イースターの青空のもと、証券取引所の建物から国会議事堂を望む。
POLITIKEN 2013/ 04.02 インターネット配信ニュースより。
庭の隅にはまだ雪が残っています。桜の木もご覧の通り、お花見までまだまだ先です。
のら猫カナちゃんも元気に冬を越してくれました。