2013年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 191】 by 岡村恭子
VOL.191 初夏のDragør散策
torsdag den. 30 maj 2013
毎年今頃になると家人がいそいそと愛車の手入れを始めます。そして、
「行くぞ!」と声が掛かった時がチャンスです。大急ぎでバスケットに
サンドイッチを詰めたらバタバタと出かける準備をして、さあ出発です。
コペンハーゲンはどちらを向いても運河と海ですから、行き当たりばったりに
出かけても気持ち良い景色に出会えますが、今頃ならば海辺の街Dragørが
一番です。(バックナンバー https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/648.html)
我が家から南に街を抜けて行くと、やがて大きな森の中に入ります。
身体まで明るい緑色に染まってしまいそうな森を抜けると、今度は視界が
広々と開けます。野原で草を食む馬達、遠くに茅葺きの農家、 時々すれ違う
サイクリスト…。平坦な地形なので、一面新緑に彩られた地平線の向こうは
初夏の青空が広がるばかりです。やがて道が大きくカーブしたなと思ったら、
ほうら… ね!海岸通りに出ました。
南スウェーデンとを結ぶ橋を遠くに眺めている内に目的地に到着です。
小さな港を前にして、黄色い壁と赤いレンガや藁葺きの屋根の小さな家々が
ちょっと窮屈そうにギュッとひと塊になって建ち並び、その間を縫うように
曲がりくねった狭い路地が続きます。 そんな小径を気の向くままに散歩です。
手入れの行き届いた庭を愛でたり、美しく飾った窓辺を鑑賞したり…。
どの家も表札やドアノブなどの細かい所まで気配りしている、そのセンスの良さ
には感心するばかりです。
曲がりくねった小径を散策しているうちに、偶然それまで知らなかった小さな
広場に出て、そこでたまたまやっていた蚤の市で掘り出し物を見つけたりする…
そんな楽しい出会いの予感がする街でもあります。
私達が出かけた日は五月晴れの休日ということも手伝って、一体何処から
こんなに沢山の人が集まって来たのだろう?と思うほど賑わっていました。
カフェもレストランも満員。小さなブティックも試着する人が行列を
作っていました。デンマーク語はもちろんですが、スウェーデン語や
ノルウェー語に混ざってその日は何故かスペイン語圏の観光客、そこに私達
日本人のおしゃべりが加わって、聞こえて来る会話の何とインターナショナルな事!
どうやらこの小さな街も誰も知らない穴場的スポットでは無くなってしまった様子に、
地元民としては嬉しいような残念なような…ちょっぴり複雑な心境です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
新緑が美しい森の入り口で。
カフェは大賑わい。
何が釣れるかな?子供はしっかりライフベスト着用して感心です。
さすが。銀行も町並みにとけ込んでいます。