2013年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 192】 by 岡村恭子
VOL.192 さあ、今のうち...!
torsdag den. 6 juni 2013
6月になりました。夏至まであと20日足らずです。
ストックホルムの友達から「明るくて嬉しいです。さあ、今のうち!」と
いうメールです。本当に私もその通りの気分です。
人々は「今のうちに…」と、戸外で過ごします。実際には夏至を
過ぎてからが本格的な夏到来なのですが、一方で夏至を境に日照時間が
また短くなって行くのだ、という強迫観念にも似た気持ちが
北欧の人々には有るのです。
庭も初夏の様子です。ルピナスが咲き始めています。
かすみ草が白いレースの様に風に揺れています。
ラベンダーやバラも育っています。育っていると言えば
小さな苗から育てているプチトマトが随分大きくなりました。
只今青い小さな実が全部で15個。赤くなるのを楽しみにしているところです。
PM 10:00、西の空に沈みかけた夕日が輝いています。もうすぐ日没…でも、
真夜中になっても深碧色に塗られたまま暗くならず、少しするとまた東から
朝の太陽が顔を出します。地球が23、5℃傾いてくれているお陰です。
私は夏至の頃になると不思議なくらい漆黒の宇宙にポカリと浮かんだ地球という
星を想像します。それは小さいけれどしっかりと重量感のある宝石のようです。
『 好きなもの、イチゴ 珈琲 花 美人 懐手して宇宙見物 』(寺田寅彦)
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/318.html
いいなあ、好きだなあ、この感じ…と思いながら、暮れようとして暮れそうもない
6月の空を眺めたりします。先日もそんな気持ちの良い一日、庭で夕食の
テーブルを囲んでいたら、何処からとも無くテナーサックスの音が流れて来ました。
今までも時々聞こえて来ることはあったのですが、今回はドラムも加わり本格的に
セッションをしているようです。家人と一緒に音のする方に庭を横切って行くと、
裏通りで人声がします。何だか楽しそうです。散歩がてら様子を見に行く事にしました。
初夏の夕暮れ時、家々の植え込みは緑を一層濃くして、草花が呼吸しながら放つ
何とも気持ち芳い香りが辺を包み込んでいます。
こっちかな?あの家かな?鬱蒼とした植え込みの奥が賑やかそうです。
多分何かのお祝いパーティーなのでしょう。ちょっと幸せのお裾分けを
もらった気分になりました。そうして、その夜は遅くまで賑やかなのでした。
ミッドナイトサマーの北欧は人も風景も明るく輝くようです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
初夏の庭の様子。
日向ですくすく育っている我が家のプチトマト。
毎日庭で過ごしています。夕暮れとともにランタンを灯します。
庭のスズラン、地下茎で増えて時々間引きするほどです。
可愛らしい白い花から甘い香りがします。