2013年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 195】 by 岡村恭子
VOL.195 明るい季節への賛歌 夏至祭
torsdag den. 27 juni 2013
日々、何気なく過ごしている内にも時間は過ぎて行きます。
暢気に「毎日どんどん明るくなって行く!」と喜んでいたのも束の間、
夏至がアッという間に過ぎてしまい、これから又毎日少しずつ昼間が短く
なって行きます。気のせいか空気もひんやりと感じます。気分的にも
シュンとしてしまいそうです。もしも「時間」に思いやりという心が有る
のなら夏至が来る日をもう少し先延ばしして欲しかった…そんな人の気持ち
などおかまい無しでこの瞬間も刻一刻と時間は過ぎて行くのね…、などと
詮無い事をつらつらと思いますが、いやいや、まだ明るい季節は続きます。
気を取り直して夏至祭の様子をお伝えしましょう。
デンマークでは夏至の夜に海岸や湖のほとりなど水辺に人々が集い、
焚き火を囲んで一年で一番明るい夜を喜びあいます。
キャンプファイヤーと同じようですが、少々趣が違うのは焚き火の
テッペンに魔女を括り付け焼き払ってしまうというところです。
魔女に設定した人形(人形というよりも黒装束の案山子のよう)には
風船が入っていて、燃える時にピューピューンと悲し気な?音を立てます。
観衆はやんやの喝采!まるで火あぶりの刑のようですが、中世ドイツの魔女伝説
からくる悪者退治の象徴、悪いモノを追い払うという目出たい行事なのだそうです。
なんでも、1800年代にドイツからやって来た職人さんが流行らせたとか、
真意の程は分かりませんが、真夏の夜のお祭りにバイキングの子孫達が
面白がってやっているうちに広まった、ということは大いにあり得そうです。
今年は娘に勧められるままNyhavnの夏至祭に行きました。
時々シャワーのように降っていた雨も出かける頃には上がり、
西の空が明るくなって来ました。雨上がりの夏至祭です。何となく良い兆しを
感じならNyhavnに到着すると…?… みんなが空を仰いでいます。… 虹です!
まるで夏至祭を祝福するかのように集まった人々の頭上にきれいな虹のアーチが
架かかり、とても美しい風景が展開していました。
運河の上には焚き火用の即席筏、その真ん中には魔女が…と思って良ーく見ると、
あらっ?今回の魔女役に抜擢されたのは何とゴリラの人形です。
PM 9:45きっかりに焚き火に点火されると観衆から拍手と歓声が上がり、
そして“ 夏の歌 “ を歌って暮れそうで暮れない白夜を讃歌します。
今年も明るい季節のピークを迎えてしまった。。。また来年会いましょう。。。
そんな、北欧の人々の気持ちが切ない程に伝わってきた今年の夏至祭でした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
Nyhavnの運河に架かった大きな虹。美しい光景に人々から歓声が。。
焚き火までのひと時、野外ステージのジャズライブを楽しむ人々。
今年の魔女役は青い洋服のゴリラ。魔女伝説を覆す?演出でした。
炎の中の十字架が結構印象的です。