2009年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol.6】 by 岡村恭子
VOL.6 思い出のクロスステッチ
前回は汗を流してペンキ塗りでしたが、ここ数日は肌寒く、
私は雨の合間をぬっての庭仕事です。
雨降りで喜んでいるのは紫陽花とバラと芝生。
ちょっと元気が無いのは花から実になったばかりのサクランボと苺。
赤く色付くにはお日さまが欠かせません。でも、どんなお天気だろうと
庭の植物達は日々成長衰退をくり返し、季節は巡り地球は廻っている!と
今日も私に教えてくれています。
よほどの雨でなければ、自転車で買い物にでかけるのが日課です。
いつもなら大通りを真直ぐ行くのですが、晴れ間が嬉しくて廻り道。
娘が小学校に通い始めて間もない頃、毎朝一緒に通った脇道を
自転車をひきながらゆっくり散歩です。“10年=ひと昔”としたら、
もうすぐ“ふた昔”も前の事になりますが、のんびり歩いていると、
あの頃が蘇ります。
リンデンバウムの木々がゆったりとした木陰を作る広場に出ました。
その向こうに校舎が見えます。この大きな木の所まで来れば
賑やかな教室までもう少し!というサインでした。
低学年生には学童クラブがありました。
迎えに行くと、手芸好きな女の子達が先生とテーブルを囲んでいました。
刺繍はもちろんこと、パッチワークやシーチングに簡単な染め付けなど
自由に作品作りが出来、なかなか楽しそうです。
「おばあちゃんの知恵袋」的存在の年輩の先生が、縫い方、刺し方、
何でもござれ!で子供達を指導してくれます。
そんなある日のこと、帰宅した娘がカバンから小さな布を取り出して、
嬉しそうに言いました。「自分で作ったの。」
娘のクロスステッチ第一作目は、ピンクの糸で刺繍した「おうち」でした。
画用紙に絵や文字を描くように、まったく自由に糸を刺して描いた作品は
拙いけれど、「クレヨン代わりの刺繍糸」という彼女の気分が反映され、
なかなか良い味を出しています。
あの時、不器用な私の遺伝子は封印され、父親の遺伝子が花開く予感が
したかどうかは忘れましたが、とにかく
以来、額に入れて私の仕事机の前に飾っています。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com
矢印でしっかり自己主張しています。
今頃は白い花が美しい。
雨上がりには緑の中に一層映えています。