2009年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol.7】 by 岡村恭子
VOL.7 探し物は何ですか?
例えば、居間やキッチンなど、いわゆる家庭内パブリックスペースの
片付けは我ながら結構上手だと思うのですが、自分の仕事部屋と
なると、片付かない。いつも散らかっています。
私の机の上は本来重要と思われるファイルや書類ホルダーを
押しやるように、手紙や家族の写真や雑誌、それから
リボンやきれいで捨てられない包み紙などでいっぱいです。
その隙間にボールペンやクリップが 何となく、という感じで置いてある。
しかし、です。一見とりとめのないこれらガラクタの山でも、
私にはどこに何があるのか一目瞭然、変に片付けてしまったら、
かえって行く先不明になってしまいそうです。
少々散らかっている方が落ち着くし、自分の知っているモノに囲まれて
居心地良い。と半分本当、あとの半分は言い訳です。
いつだったか、長期間家を留守にする際のことでした。
当時とても大切にしていた一眼レフのカメラをドロボーから守ろう!と
家中で一番安全と思える場所に隠しました。それは良いのですが、
さて、いざ使用する段になったら、いくら探しても見つからない!
これならいっそドロボーにとられた方がさっぱりしたなあ、と
複雑な気持になりつつ、時は過ぎ、そんな事もすっかり忘れていた
ある夏の昼下がり。虫干しをしようと衣類を引っぱり出している時でした。
2階の奥の部屋の、ガデローブの奥の、そのまた奥の、箱の中の、
娘の幼かった頃の浴衣の袖の中から、ゴロリン、と重たいモノが滑り
落ちて来たのです。
おお、こんな所に隠れていたの!と、かくれんぼしていた子を
見つけたように、カメラを手にして喜びながら、ドロボーの心理を
裏読みしては散々悩んで、朝顔の袖にカメラを忍ばせた時を
思い出したら、無性に可笑しくなりました。
整理整頓も大事ですが、何事もあまり片付けてしまうと、カメラの時の
ように見失ってしまいそうです。
それと反対に、とても大切なモノが目の前に有っても気付かないことが
あるような気もします。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com
私の部屋の窓辺です。朝日が気持良い。
只今赤くなりかけ30%。
毎日やって来る鳥たちとの戦いが始まりました。
薄いピンクと牡丹色のシャクヤクが咲き始めました。