2009年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol.8】 by 岡村恭子
VOL.8 夏至に寄せて
夏至です。
只今pm10:00。庭はまだ明るい。
近所で夏至のパーティーをしているのでしょう。
笑い声や音楽に混ざって、はしゃいだ子供達の声が聞こえて来ます。
たかが一年中で一番日照時間が長い日だ、というだけで、
大人も子供もどうしてこんなに無邪気に喜べるのか?
最初の頃は不思議でした。でも、暮してみてわかりました。
私だって嬉しい。そして、ちょっぴり淋しい。
夏至を境にまた太陽が遠ざかりはじめるからです。
頭の中の折れ線グラフが本日をピークにして、また下がり始めてしまう。
明るい季節を愛おしむ…北欧の人々にとって夏至は特別な
思い入れのある夏の一日なのです。
毎年夏至に前後した今頃、我が家ではサクランボが実ります。
今年は桜の開花時期に天気に恵まれたものの、実が付き始めた頃から
長雨と低温の日々が続いてハラハラどきどきでした。でも
ここ数日の好天気で一気に赤く色付き始めて、なかなかの出来です。
サクランボが赤くなると同時にやって来るのが沢山の鳥たちです。
早朝から暗くなる迄、一体、どこから、どうやって嗅ぎ付けて来るのか?
沢山の鳥たちがサクランボをついばみに来ます。
縄張り争いもあって、一日中にぎやかな上、とにかく喰い散らかします。
少し齧ってはポイッと捨てる。一度に何羽もが枝に止まり、そんな風に
不真面目な食事風景を展開しています。お行儀悪い鳥たちに混ざり、
私は摘み取り作業です。なるべく濃く色着いた実から順に選んで
摘み取ってゆきます。カゴが一杯になったら、楽しみにしてくれる
お友達やご近所さんの笑顔を思い浮かべながらの選別作業。
その合間にも鳥追い作業を怠り無く!そんなわけで、
ここ数日はサクランボと共に明け暮れる“サクランボ農家”の主婦状態です。
収穫は数日間が勝負です。瞬く間に木の葉の間の赤い実が少なくなって
行き、ある朝、庭に静寂が戻ったと思ったら、その年のサクランボ収穫
終了日です。鳥たちが去った後の庭から、安堵のため息が聞こえて来る
ようです。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com
夏至。PM10:30 西の空はまだまだ明るい。
本当は黒ずむくらい赤い実が美味しい。
でも待っていたら鳥たちに喰い散らかされてしまう。
夜明けと共に(AM3:00)やってくるギャングが
心配でおちおち眠れません。