2015年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 293】 by 岡村恭子
VOL.293 今時の ” 旅気分 ”
torsdag den. 11 juni 2015
夏至まであと10日、北欧は明るい季節のピークを迎えています。
毎年の事ながら、夏至が過ぎたらまた少しずつ日が短くなってゆく
と思うと一抹の寂しさを覚えますが、いやいや、まだまだこれからです。
北欧の6月は夏本番、明るい季節を思う存分満喫しなければ!
そんな明るい陽射しの中、
所用があっての帰り道、セントラルステーションの中を通り抜けて
バス停まで近道です。
鉄骨の柱と木造の太い梁。タイルの床と壁、明かり取りの窓には
各都市の紋章が描かれたステンドグラス、外光を受けてチャーミングです。
ずっと以前構内の片隅に設置されたジオラマの鉄道模型を見に幼い娘を
連れて来たのをふと思い出しながら、ここから列車に飛び乗れば大好きな
南スペインまでだって行ける…と思ったら、脇をすり抜けて行く
バックパッカーの若者達が羨ましくなりました。
もしも独り身の自由人だったら、もしも、もしも…と夢想したって仕方が無い。
夕方までには帰らねば…主婦は家路を急ぐのでした。
四季を通じて世界中から沢山の観光客で賑わうコペンハーゲンですが、
これから夏休みにかけては更に大賑わいです。
私はいつもバッグに小さなデジタルカメラを突っ込んでいて、
気が向いた時に写真を撮り、帰宅してからコンピューターに取り込んでいます。
でも、今の人々はそんな悠長じゃない。スマートフォンで撮影したそばから
家族や友達にピューンと送信する。更にインスタグラムやFacebookに
アップすれば世界に向けて発信出来る。
こうなると名所旧跡の写真より、たった今食べた美味しい食事やショッピングなど、
オリジナルの情報を提供したくなるし、そこから新たな興味もわいて来る…。
新しい旅の楽しみ方だと思います。
まだインターネットが普及していかった頃
『地球の歩き方』という海外旅行者必携の本が有りました。
実際に行った人の情報が掲載されているのが特徴で、
おすすめホテルやレストラン、交通機関利用方や各種サービスの有無などが
正直な感想文と一緒に事細かに書いてあり、末尾には簡単辞書もあったりして
かゆい所に手が届いた便利な一冊だったのです。
今ならぜーんぶ、インターネットで簡単に検索できますが、当時としては
実に画期的な旅の手引きだったのです。
旅行者が分厚い本を片手にカメラを首から提げていたのは遠い昔になりました。
延江さんのインスタグラムが更新される度に(同じ町内なのに!)
知らない街の風景のように新鮮です。
これも小さな日常の旅気分?!かもしれませんね。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
窓のはめ込まれたステングラスが印象的なコペンハーゲン中央駅構内。
木の梁がばバイキングシップのようです。
街角スナップ。コペンハーゲンは気軽に立ち寄れるカフェがたくさんあります。
乾いたノドを潤しながらのんびり通行人を眺めるのも楽しい。
今日の庭から。
緑が鬱蒼として来ました。西日に透けるポピーの花びらがきれいだったので…。