2016年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 356】 by 岡村恭子
VOL.356 秋の庭に思うこと。
街の中に浮かぶ島のように・・・。
torsdag den. 22 september 2016
今回のオープンステッチハウスも無事に終了、早くも来春の
開催を楽しみにしている方が沢山いらっしゃると聞きました。
毎回、工夫を凝らした内容と展示作品の完成度の高さもさることながら、
来場して下さる皆様の関心のレベルが高くて、回を重ねる毎に
北欧刺繍に新たな息吹が吹き込まれて行くような気がします。
本当にステキだと思います。
コペンハーゲンは秋本番、
落ち葉を拾いながら、秋色に染まった庭を眺めて
見よう見まねのガーデニングにも年季が入って来たものだと
我ながら感心します。植物は正直で、手抜きをすると花付きが悪かったり
ハッパが病気になったりしてすぐにバレてしまう。とても分かり易い。
慌てて肥料を与えたりしても後の祭りだったりします。
ようやく長い冬が過ぎて、春先の庭掃除を始めた頃から、
早春の花を愛で、桜が咲いたと喜び、サクランボに襲来する鳥との
攻防戦を繰り返し、真白なリンゴの花が咲く頃には
庭はライラックの甘い香りに包まれます。今年、バラや紫陽花の花が
長く持ってくれたのは7月が低温多雨だったお陰。
そうして長い夏休みに入り、気ままに庭を楽しみ、BBQをして過ごした
明るい季節もたちまち過ぎて…
今、落ち葉の庭で早くも来年の春の庭のことを思い描いています。
思えば、この家に暮らそう!と一大決心をしたのは、もちろん
建築家アルネ•ヤコブセン設計の住宅ということが一番にあったのですが、
私は広々とした庭にも魅了されたのでした。
27年前の丁度今頃のことでした。下見に来た私達に当時の家主だった
老婦人が、サクランボ、プラム、リンゴ、それから梨の木と、順番に
指差しながら、この庭はまるで果樹園。それに、ほらっ?!と耳を
そばだてるようにして笑いながら、静かで街中に浮かんだ小さな島に
暮らしているようですよ。
おお~、コロリとその気にさせるセールストーク?!
しかし、 “ 街の中に浮かぶ小さな島 “ とは何と魅力的な言葉でしょう。
あれから20数年が経ち、2本有った大きな洋梨の木は立ち枯れ、
桜の老木も半分の命になってしまいました。
でも、当時雑草だらけだった植え込み周辺は家人の手入れよろしく
丸い柘植の木が育ち、今では愛称マルちゃん新たな庭のシンボルです。
今日も秋晴れです。
洗濯の合間に リンゴ拾いと落ち葉掃き、ツタも切ってあげなくては、
裏庭の枯れてしまった竹薮も片付けよう!…私は往ったり来たり、
こうして、コペンハーゲンの片隅で我が家の毎日が過ぎて行きます。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
マーケットの秋野菜が美味しそうです。
昔ながらのユニフォームでやって来る煙突掃除屋さん。
煖炉の季節間近です。
今日の庭から
種から育てたセラチウムがオレンジ色の花を沢山付けてまだまだ元気。
少し褪せたような秋の草花の色合いも美しいです。
裏庭のレンガにつたっている蔦紫陽花も延びた所を切りそろえてサッパリ!