2016年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 359】 by 岡村恭子
VOL.359 お気に入りの美術館でカルチャーアフタヌーン
torsdag den. 13 oktober 2016
蜘蛛の巣が雨の雫をビーズのように散りばめて風に揺れています。
コペンハーゲンはひと雨ごとに秋が深まって来ました。
店先に大きなカボチャが並んで… もうすぐハローウィンです。
子供達はカボチャをくり抜いて顔を作りキャンドルを灯して、
ちょうど提灯みたいに!それから愉快でちょっぴり怖ーい仮装パーティー
をして盛り上がります。
そして、このページが更新される今週金曜日はカルチャーナイトです。
コペンハーゲンの美術館、動物園など多くの公共施設が夜遅くまで
オープンして様々なイベントを開催します。
秋の夜祭り、もしくは一晩だけの文化祭という感じかな?
そぞろ歩きの人々でざわめく通りに甘栗やクレープ屋さんの甘い香りが流れて…、
イベント会場の入り口に灯されたキャンドルの灯りが訪れた人々を屋内へと誘う。
夜の闇が深い程、そんな “ 灯り “ が温かく柔らかく感じられます。
室内で過ごす時間が多くなるこれからの季節、気分転換に椅子の
レイアウトを変えてみる。それだけで部屋の印象が変わります。
座る角度が変わっただけなのに見える景色も変わって新鮮です。
気分もリフレッシュ! そして、多分北欧の人がインテリアや家具に関心が
高いのも長い冬を上手に過ごすコツなのだろうと納得します。
ところで、私の好きな場所の一つ『デザインミュージアム』には
デニッシュデザインのプロダクトが沢山展示されていて興味深く、
デザイン好きの人に人気の場所ですが、中でも家具の展示は充実していて
見応えが有ります。家人が家具デザイナーということも手伝って、
度々訪れていますが、行く度に新しい発見が有り飽きることがありません。
いわゆる名作と言われる家具を眺めながら、伝統的な木工技術に感心したり
機能的なデザインにうっとりしたり… 展示作品をじっくりと鑑賞し、
散々目の保養をして帰宅。我が家の使い古したダイニングチェアに腰掛けて、
ああ、やっぱりこれが一番!と家人が30年も前にデザインした椅子を
撫でて、長年使い親しんだ家具には『愛着』という言葉がピッタリだと
改めて思ったりしています。
デザインミュージアムには家具以外にも大変興味深い展示品の数々があります。
日本の工芸品コレクションのことは以前にも書きましたが、
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1280.html
他にも特筆すべきは回廊式の展示コーナーの奥まった場所にひっそりと
展示されているヨーロッパの手工芸の歴史的コレクションです。
引き出しの中に丁寧に保存されている作品は、刺繍をされる皆様が
ご覧になったら、さぞかし魅力的なコレクションなのだろうと想像します。
コペンハーゲンを訪れる際には是非お出かけ下さい。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
デザインミュージアムの家具デザイン展示風景から。
透明なグランドピアノは照明デザイナー、ポール ヘニングセンのデザイン。
赤い部屋には前衛的なデザイナー、ベアナ パントンのコレクションを展示。
手工芸の展示から。ビーズを丁寧にさした作品と真っ白いレース仕立ての作品。
いずれからも当時の優雅な貴婦人の姿を連想します。
深まり行く秋のミュージアムの中庭。