2016年10月~12月

【きょうのクロスステッチ Vol. 358】 by 岡村恭子

VOL.358 リンゴを使った美味しいブランチ : Æbleflæsk

torsdag den. 6 oktober 2016

10月に入った途端に気温が急降下。即、暖房を入れました。
今朝、外の寒暖計を窓越しに除いてみたら6℃でした。
先週までポカポカ陽気に浮かれていたのが噓のようです。

枯れ葉が舞う庭で晩夏の名残のラベンダーが風に揺れています。
明るい季節を元気に彩ってくれた草花達も、すっかり肩の力を抜いて
冬ごもりの準備を始めた様子です。一年草は取り除き春咲きの球根を
植えなくては、ゼラニウムを室内に取り込む準備もしなくては…。
そうして夏の間、開けっ放しにして部屋の延長のように出入りしていた
庭先のドアも、これからはしっかり閉めておかなくてはなりません。
暖房を入れた途端に家の内外の境界を感じる様になります。
外出から戻って暖かい室内にホッとする。キッチンから美味しそうな
匂いがしたら尚更嬉しくなって冷たいホッペも一度に暖かくなる…
そんなこれからのシーズンの楽しみは手軽な材料を使った簡単クッキングと
ベーキングです。今、一番手軽な材料と言えば拾っても拾っても落ちて来る
庭のリンゴです。なるべく大きいのを選んではご近所に配ったり、
ちょっと痛んだのをお菓子にしたり、ジャムを煮たり…、
それからお料理にも活用します。お菓子は今までも何回か紹介しているので、
今回は簡単で美味しいブランチメニューをご紹介しましょう。

* Æbleflæsk : カリカリベーコンとリンゴのピュレ *

材料 3人前
   酸味のあるリンゴ 4個くらい
   ベーコン     6枚
   玉ねぎ      中1個
   塩        少々
   砂糖       小さじ2(リンゴによるので調節する)

作り方
1 長さ10㎝程に切ったベーコンを中火のフライパンで焦げ目がつき、
  カリカリッとするまで焼く。
2 ベーコンを火からおろし、ベーコンから出た油も脇に取り出す。
3 ベーコンの油分が残ったままのフライパンに薄切りにした玉ねぎを乗せ、
  塩少々して弱火で玉ねぎが柔らかくなるまで焼く。
3 玉ねぎをフライパンから取り出し、脇に取っておいたベーコンの油を戻し、
  芯を取り厚さ1㎝程のくし切りにしたリンゴを入れて弱火にかける。
  砂糖を振り入れて柔らかくなるまで焦がさないように炒める。
4 黒パンにバターを塗り、リンゴ、玉ねぎ、ベーコンをトッピングして完成。

甘酸っぱいリンゴとベーコンは相性抜群です。
デンマークでは黒パンを使いますが、軽くカリッと焼いたフランスパンに
乗せてもオシャレで美味しいと思います。
週末のブランチに是非お試し下さい。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









今年もリンゴの季節になりました。
この所リンゴ拾いが日課です。



ベーコンとリンゴそれに玉ねぎが有ればフライパン一つで出来るのも魅力。



丸くくり抜いた黒パンにバターを塗り、リンゴのピュレの上に
玉ねぎ、最後にカリカリベーコンを乗せて完成!
ビールとの相性抜群です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 359】 by 岡村恭子

VOL.359 お気に入りの美術館でカルチャーアフタヌーン

torsdag den. 13 oktober 2016

蜘蛛の巣が雨の雫をビーズのように散りばめて風に揺れています。
コペンハーゲンはひと雨ごとに秋が深まって来ました。

店先に大きなカボチャが並んで… もうすぐハローウィンです。
子供達はカボチャをくり抜いて顔を作りキャンドルを灯して、
ちょうど提灯みたいに!それから愉快でちょっぴり怖ーい仮装パーティー
をして盛り上がります。
そして、このページが更新される今週金曜日はカルチャーナイトです。
コペンハーゲンの美術館、動物園など多くの公共施設が夜遅くまで
オープンして様々なイベントを開催します。
秋の夜祭り、もしくは一晩だけの文化祭という感じかな?
そぞろ歩きの人々でざわめく通りに甘栗やクレープ屋さんの甘い香りが流れて…、
イベント会場の入り口に灯されたキャンドルの灯りが訪れた人々を屋内へと誘う。
夜の闇が深い程、そんな “ 灯り “ が温かく柔らかく感じられます。

室内で過ごす時間が多くなるこれからの季節、気分転換に椅子の
レイアウトを変えてみる。それだけで部屋の印象が変わります。
座る角度が変わっただけなのに見える景色も変わって新鮮です。
気分もリフレッシュ! そして、多分北欧の人がインテリアや家具に関心が
高いのも長い冬を上手に過ごすコツなのだろうと納得します。
ところで、私の好きな場所の一つ『デザインミュージアム』には
デニッシュデザインのプロダクトが沢山展示されていて興味深く、
デザイン好きの人に人気の場所ですが、中でも家具の展示は充実していて
見応えが有ります。家人が家具デザイナーということも手伝って、
度々訪れていますが、行く度に新しい発見が有り飽きることがありません。
いわゆる名作と言われる家具を眺めながら、伝統的な木工技術に感心したり
機能的なデザインにうっとりしたり… 展示作品をじっくりと鑑賞し、
散々目の保養をして帰宅。我が家の使い古したダイニングチェアに腰掛けて、
ああ、やっぱりこれが一番!と家人が30年も前にデザインした椅子を
撫でて、長年使い親しんだ家具には『愛着』という言葉がピッタリだと
改めて思ったりしています。

デザインミュージアムには家具以外にも大変興味深い展示品の数々があります。
日本の工芸品コレクションのことは以前にも書きましたが、
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1280.html
他にも特筆すべきは回廊式の展示コーナーの奥まった場所にひっそりと
展示されているヨーロッパの手工芸の歴史的コレクションです。
引き出しの中に丁寧に保存されている作品は、刺繍をされる皆様が
ご覧になったら、さぞかし魅力的なコレクションなのだろうと想像します。

コペンハーゲンを訪れる際には是非お出かけ下さい。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













デザインミュージアムの家具デザイン展示風景から。
透明なグランドピアノは照明デザイナー、ポール ヘニングセンのデザイン。
赤い部屋には前衛的なデザイナー、ベアナ パントンのコレクションを展示。








手工芸の展示から。ビーズを丁寧にさした作品と真っ白いレース仕立ての作品。
いずれからも当時の優雅な貴婦人の姿を連想します。








深まり行く秋のミュージアムの中庭。

【きょうのクロスステッチ Vol. 360】 by 岡村恭子

VOL.360 秋の夜長のコペンハーゲン便り

torsdag den. 20 oktober 2016

今週は秋休みです。
そういうことなら朝寝坊しても良いだろう、と言うのは誠に勝手な
口実ですが、実際問題この時期は朝の目覚めが今ひとつ爽やかではない。
原因は簡単です。一言、朝が暗い!… これです。
春から夏にかけてのあのワクワクするような、
毎朝、起きるのが楽しみになるような、目覚める度に右肩上がりに
明るくなってゆく季節の正反対です。
急降下で冬至に向かってまっしぐら。暗いトンネルに潜って行くようです。
日増しに日照時間が短くなり、太陽は日ごと遠く、低く、弱々しくなって
来ています。
今月末に冬時間に切り替わります。わずか1時間時計の針を遅らせる
だけなのに、一瞬朝が明るく感じられてすごーく嬉しい。
それまでは目覚まし時計にせっつかれないとベッドから出られそうもありません。
今からこのような事で大丈夫?という声が聞こえて来そうですが、
…ハイ。だいじょうぶ!
そうこうしているうちにクリスマスシーズンがやって来て、
何だか街中が気ぜわしく、慌ただしくなるのです。
昔から北欧の人々にとってクリスマスは “ 暗さ “ を紛らわせる大イベント
だったに違い有りません。そして、北欧刺繍も又、春を心待ちにする
女性達の気持ちの表れなのだということが、とても自然に納得できます。
つるべ落としの秋の夜長に、赤い帽子の愛らしいニッス(=クリスマスの妖精)
や春の草花のモチーフなど、色とりどりの刺繍に囲まれ“ Hyggelig! “ な
ひと時を過ごす。窓辺にキャンドルを灯し、親しい人へのクリスマスプレゼント
を、あれこれ考えながら丁寧に心を込めて一針一針刺してゆく…。
時間がゆっくり過ぎて行きます。
ステッチハウスを通じて刺繍に親しんでいる皆さまも、クリスマスの
オーナメントに色糸を刺しながら、そんな北欧の四季を想像して
楽しまれているのだと思います。素敵な事ですね。

冷たい風に街路樹も葉を落とし、道路に枯れ葉がカサコソ乾いた音を
立てて舞っています。秋休みの子供達が吹きだまりの葉ッパを蹴って
遊んでいます。観光シーズンも一段落した10月のコペンハーゲンは
街行く人もお店ものんびりとした様子です。
ロイヤルコペンハーゲン本店前に全身ゴールドずくめの天使が立っていました。
女の子なら誰もが素通り出来ないストロイエ名物の天使パフォーマーです。
コインをチャリ~ン!…すると、それまで石のようにじっとしていた天使が
ゼンマイ仕掛けの人形のようにクルンと動きだし、☆のスティックを
かざして良い事が有りますように…おまじないをしてくれるのです。
まるでディズニーアニメから抜け出たようなパフォーマンスに少女達は
夢見心地。いい歳をした私まで “ 遠い過去に置き去りにしていた少女心 “ を
くすぐられそうになった秋の昼下がりでした。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





これは町内の広場に植わっているプラタナスの木。
小さなトゲトゲの実を沢山付けてボンボリみたい!











金色天使です。少女の頭に☆のスティックでチチンプイプイっとおまじない。
神妙にしている女の子達が可愛いですね。



室内に取り込んだゼラニウム、全部で18株になりました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 361】 by 岡村恭子

VOL.361 我が家の物置きプロジェクト

torsdag den. 27 oktober 2016

紅色、鳶色、芥子色…重なり合う紅葉のグラデーション、
葉を落とし始めた梢が心もとない様子で風に揺れる、冬ごもりに入る前の
ほんの束の間…。秋の風景は春から夏にかけてのエネルギッシュで
明るいそれとはひと味違う、しっとりとした趣があります。
我が家の老桜も、レンガを伝う蔦も、白樺の木も、黄色く色づきました。

そんな 静かに読書でもするのが相応しいような秋の日に、
“ 物置を作るプロジェクト “ (詳しくはvol.354をお読み下さい。)
が始まってしまいました。
寒くなって来たし、ほら、雨も降って来た。来年の春でも良いのでは?
と言う我々(私と家人)に、簡単だよ、と笑顔で、とにかく材料を運ぶ事に
なったから裏木戸を開けて置くように、と念を押して帰ってしまいました。
当日は力自慢のエリックのお兄さん : モーエンスも加わって、
やあ、久しぶり、と言うが早いか挨拶もそこそこに土を掘り返し始めます。
いやはや、どうも、ヤル気満々のようです。
こうして、『我が家の物置プロジェクト』がスタートしました。
たかが物置、されど物置です。ホームセンターのカタログには目もくれず、
材料全てを建材屋さんで購入してくる所がエリックらしい。
その為に大型車免許を持っている娘婿まで助っ人で登場してくれました。
私達の出る幕が無い!正真正銘のデニッシュD.I.Y.です。

とにかく土台が肝心!土台さえしっかり作っておけば後は簡単!…だそうで、
土を掘る、削る、平らにならす、砂土を敷き詰める。
柱の穴を掘削掘削用のスクリューシャベルで柱用の穴を掘る。
穴に柱を立てる、立てたら固める。砂土を真っ平らにして敷石を並べて行く。
と、まあ、書けば簡単そうですが、いずれもかなりの力仕事です。
エリック兄弟はこの夏休み、サマーハウスに大きな物置を作ったばかりだから、
呼吸もピッタリ合っていて作業に無駄が無く素早い。私達はと言うと、
家人は柱が倒れない様に押さえる係。私はランチ係でした。
朝8時に開始してランチタイムを挟んで午後4時には彼等が予定していた
基礎工事が終了。やったー!すごい!と拍手してビールで乾杯。
… さて、さて、この後はどうなるのでしょうか?

実はこのページが更新される頃、私達は少し遅れの休暇で東京の空の下
大いに羽を伸ばしている予定です。
だから、もしかしたら、この先は来春になるかもしれない。
ひと冬あのままの状態ねえ。。。それも良いかも知れません。
時間の有る時に無理せず楽しんでやるのがデニッシュスタイルなのです。
取りあえずは日本での休暇を満喫したいと思います。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





近所で見かけた街路樹 、赤い実が可愛らしい。



我が家の大きな白樺の木。夕日を受けて金色に輝きます。



運河沿いの木々も紅葉して絵はがきのような美しさです。











物置プロジェクト。ここまでで出来ました。
柱だけの所にドアを取り付けてみたりして…。完成が楽しみです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 362】 by 岡村恭子

VOL.362 秋の東京散策: 美術館と天ぷら

torsdag den. 3 november 2016

前回お知らせした通り、只今日本に滞在中です。

日本とデンマークの時差は7時間、飛行時間が10時間30分。
コペンハーゲン空港を午後3時過ぎに発って、成田空港に
翌日の午前10時着というキツネに包まれたようなフライトマジックです。
機内で寝そびれた私は完璧な時差ボケのままエンジンフルを回転したのでした。

やりたい事、会いたい人、行きたい場所が沢山ある中で、毎回楽しみに
しているのが学生時代からの仲良し3人組と過ごすひとときです。
気のおけない女友達と一緒の時はすっかり学生時代の自分に戻っている
自分がいます。性格的にも当時のバランスに戻る感じです。
今回も “ 仕切り屋E-子 “ の 「ねえ、どこにする?ナニ食べたい?…
いいのよ、いいの、久しぶりの日本ですものね。貴方の食べたいもの優先よ。
でも、あれも食べたいし、これもイイわねえ…」…と言う矢継ぎ早な、
つまり、彼女の食べたいモノが列挙されて行く中で「湯島で天ぷら」!という
魅力的なフレーズに一も二もなく賛成したのでした。
夕食も決まった所で、まず、とにかく静かで落ち着いた場所に行こう、と
彼女が提案したのが東京都庭園美術館のカフェでした。

東京都庭園美術館、またの名称は旧朝香宮邸。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/museum/index03.html

フランスのアールデコ様式を取り入れた優雅な室内空間が魅力に溢れた
旧宮邸と話には聞いていたけれど、実際に行って見たら想像していた
以上に素晴らしい。いやー、よくぞオリジナルのままで保存されていたと
関係者に感謝したいです。
本場フランスのアールデコ様式と日本の職人達の丁寧な仕事の
コラボレーションが随所に生かされています。
意匠を凝らしたルネ•ラリックのシャンデリアやガラスレリーフを
見られるのも魅力です。遠くギリシャやイタリアから取り寄せた石材。
床のモザイクタイルには布目を施したものも有ります。
それらの繊細かつ柔らかいニュアンスに思わず溜め息がもれます。
鋳物の透かし彫りが施されたラジエターカバーなど細部に至るまで
ジッと見つめてしまいます。グッと近寄ってみたり、遠くから空間全体を
眺めたりしながら、1930年代という世界中が危うい状況の中で
このような住宅を造ろうと思い立った朝香宮鳩彦という人物の卓越した
デザインセンスとそれを実現させたエネルギーに驚嘆します。

すっかり優雅な気持ちになって、ふと気がつけば外はもう日が暮れています。
急に現実世界に引き戻された。その途端にお腹がすいて来た!
急げ!高輪から湯島に移動する間も学生時代に戻ってエンドレスな
おしゃべりに笑い転げて…。
そうして食べた天ぷらはお腹に浸みる浸みる美味しさでした。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













部屋ごとに意匠を凝らしたシャンデリアは1900年初頭の
フランスを代表するガラスアーティスト : ルネ•ラリックの作品。
空間を美しく彩っている。国の重要文化財に指定されています。



石塀にもこんな丸い透かし模様が…。
庭園を散策するのもお薦めです。







 湯島の天ぷら屋さんにて。揚げたてを次々と平らげて大満足!

【きょうのクロスステッチ Vol. 363】 by 岡村恭子

VOL.363 東京最終日の夜日記

torsdag den. 10 november 2016

今回の休暇も最終日になりました。

デンマークから成田に到着した頃はあまりの暑さにビックリ。
念のためトランクの隅に丸めて入れて来た夏物を得意げに引っ張り出して、
読みの深さを周囲に自慢していた日々から3週間。
今夜は木枯らしが吹いています。寒いです。
これまたトランクの底にクッション代わりに敷いて来た厚手のコート
の襟をかき分けて最終日の夜を歩きながらポケットに手を突っ込んで、
寒い!と言いながらデンマークの天気予報を見たら気温2℃!
いざ、覚悟です。パタンッ!…とトランクを閉めたら気持ちを “ 帰りモード “
に切り替えましょう。

…ああ、楽しかった~。思い出すまま、忘れないうちに書く日記です。
長野で善光寺参りと谷口吉夫設計の東山魁夷美術館探訪。
信州をこよなく愛した画家の作品を鑑賞する静謐なひと時、
信州そばに舌鼓を打ったり、裏通りの古道具屋さんで掘り出し物に
出会ったお楽しみのひと時。なにより家人の家族との和やかなひと時。
長野の3日間は瞬く間に過ぎたのでした。

偉大な “ おのぼりさん “ の私は東京再発見にも余念がありません。
今回はまず地元っ子の案内で自由が丘、恵比寿探訪から始まり、
池波正太郎的な世界が広がる人形町から室町、日本橋界隈へと探検は
進みます。わざと裏道をクネクネ歩いて迷子になりながら、気づいたら
銀座まで来てしまった。高輪も湯島もそして駒込も佃島も大好きな街に
なりました。東京は広い!新旧渾然一体、洗練と猥雑さの混沌、実に奥が深い。
公園や並木や家々の植え込み人家の垣根など 実際に歩いてみると緑が多い
ということに驚きます。路地に小さな花が咲いているの見かけると、
丁寧に日々を送る東京人の息づかいが伝わっても来ます。
立て込んだ住宅の間に小さな祠などを見かけると、その辺から小粋な小説の
主人公が出て来そうな気がするのも東京下町っぽくてイイネ、と書きながら、
小粋と言えば、今回は念願叶って人間国宝の落語家、柳家小三治の独演会にも
行く事が出来たと付け加えたい。味わい深いひと時でした。
毎回日本に帰って来る度に気持ちの通じる友だちがいてくれる事が、
どんなに貴重な事かとしみじみと思い至った3週間でもありました。
元気でいようね。毎回同じ事を確認し合っているけれど、その言葉の重みが
年々増して来ていると感じます。

アメリカの次期大統領が決まったニュースを聴きながら、
そろそろ帰り時だね。家人が言いました。
やっぱり私達にとってはコペンハーゲンの家がHOMEなのです。
歩道の落ち葉が積もってしまっているかもしれない。
帰ったら掃除しなくちゃ。
沢山の思い出を詰め込んでコペンハーゲンの我が家に帰ります。



岡村 恭子
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秋の善光寺



東山魁夷美術館
周辺の自然に溶け込むかのように水面が風に揺れる静謐な
雰囲気漂う美術館です。



おそばやさんの暖簾。



銀座4丁目のWAKOのショーウィンドウ。大きなシロクマ親子
時々顔を動かして本物みたい!



東京駅丸の内。昔の駅舎を保存改築した天井が美しい。


【きょうのクロスステッチ Vol. 364】 by 岡村恭子

VOL.364 週末のハプニング

torsdag den. 17 november 2016

家の中が何だか寒い。ラジエーターをさわるとほのかに温かいけれど、
グワーンと熱くない。どうも勢いに欠ける。おかしいな?
地域暖房のセントラルヒーティングというのはエネルギーステーション
から送られて来る給湯で賄われています。水道管と同様に地下に給湯管が
張り巡らされ各家庭に給湯されているのです。
メーターを見ると只今75℃で給湯中、充分熱い…はずなのに、
ラジエーターを全開にしてもパワーが無くて限りなく頼りない。
週末で “ お助けマン : ピーター “ にも連絡できません。( ピーターは懇意に
している水道や暖房の専門工事人。何か有れば直ぐ来てくれる。
デンマークで暮らすコツの一つにこうした場合に信頼出来、気軽に頼める
職人さんを知っていることが結構重要だったりします。)
それでも、もしかしてと、藁をもすがる思いで状況説明のメールを入れて、
留守電にも早く来てくれないと風邪を引く!とメッセージを入れましたが、
やっぱりなしのつぶてなのでした。
外は霜で真っ白です。暖炉を焚いて、厚着して、ホカロンをポケットに入れて…、
こういのもデンマークらしくて好き!昔の人はホカロンも無かったんだから…、
などと負け惜しみを言っている内にいよいよ寒くなって来ました。
ああ、コタツが恋しい、せめて電気ストーブがあったなら。。。
家の中を歩いているのにホッペを冷気がかすめます。
それに、例えば浴室やトイレまでは煖炉の暖かさは届かない。
その内にどんどん冷え込んで来ました。なるべくお布団に包まって寒さを凌ぎ、
凍てつく寒さの週末が開けました。
火曜日の朝ピーターがきてくれることになって、やれ嬉しや。
さっそくセントラルヒーティングの管を点検、給湯管の2カ所を開けて
中から水を出し、フィルターを洗う様子が優秀な外科医の様に見えて来ます。
グォーン!と大きな水の流れる音がして詰まっていた部分が解消。
家中に熱いお湯が巡らされてたちまち家中がポカポカに。
やれやれ、これでひと安心です。

とまあ、これは休暇から戻ったばかりの、とんだハプニングでしたが、
悪い事ばかりでは有りません。
もう一つ、嬉しい&ビックリなことは、なんとまあ、物置が完成していました!
出かける前には柱だけだった物置プロジェクト。
→ VOL.361 我が家の物置きプロジェクト
私達の留守中にエリックが作ってしまった!すごいです。
びっくり仰天している私達にちょっと早いクリスマスプレゼント、だなんて
泣かせるではありませんか。

そういえば、クリスマスまであと一月ちょっとですね。
部屋も暖かくなったところで、さあ、年末に向けてエンジンかけましょう!



岡村 恭子
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PM 4時 西日を反射して一瞬キラリ☆ (2階の窓から)



暖炉を焚いて寒さをしのぎました。巻きの爆ぜる音は心和みます。




 
 





日本から帰って来たら完成していた物置。
リンゴの木に天板を乗せてテーブルにする予定。
エリック自慢の上下2枚ドアです。
他にも内側に棚を取り付けたり、ペンキを塗ったり、と細々した作業が残っています。


【きょうのクロスステッチ Vol. 365】 by 岡村恭子

VOL.365 11月最後の週末雑記

       ハイテク日本のウォシュレット考

torsdag den. 24 november 2016

デンマークはここ数日、クリスマスシーズン間近とは思えないくらい
暖かく穏やかなお天気が続いています。
キッチンに朝日が差し込んで思わず「ああ、眩しい!」…だなんて!
なんという贅沢でしょう。
ここは北欧なのです。ただでも太陽が遠い、低い、弱い の3拍子なのです。
終日雲が低くたれ込めて太陽の姿をついぞ見ないまま一日が終わってしまう。
そういうお天気が当たり前で、その暗さが北欧的などと半分自虐的に納得し、
北欧デザインの誕生にはこの厳しい自然環境があるからこそ…と
いうような定説に頷き、朝からキャンドルを灯して、これぞ北欧ライフなど
と言っているけれど、やっぱり晴れてくれると嬉しいに決まっています。
気持ちも軽くなります。
日照時間は『超』がつく程短いけれど、太陽の位置が低い分、真横から
サーッと鋭角的に差し込む日光は何だか神々しく感じられたりもして。
ここ数日は “ 朝のキャンドル” を灯す必要もありません。
どうやら11月も暖かい記録を作った様子です。
でもね、どうせ又いつもの北欧らしいお天気に戻ってしまうに決まっています。
今のうちに満喫しておきましょう。

今週末には町内の目抜き通りにクリスマスイルミネーションが灯されます。
エリックと彼の娘カトリーヌが子供二人を連れて遊びに来る事になりました。
手巻き寿司でもしようかな?とのんびり考えながら、
去年の春、彼女も一緒に東京に行った時の事を思い出しています。
到着早々カトリーヌがまず最初に感動したのは他でもない
「ウォッシュレット」でした。初めての体験に目をまん丸くしながらも
言葉少なに一言「すごい!」
デンマークにウォッシュレットはありません。その存在すら知らない人が
ほとんどです。正に未知との遭遇!というわけです。
日本では子供からお年寄りまで当然のごとくウォッシュレットを使いこなし、
清潔でハイテクな日常を送っている。この事実は世界的に見ても希有な
事なのだと改めて思います。どんな田舎に行ってもウォッシュレット!…
そんな国は世界中探しても日本だけです。
こんなに便利で清潔なアイテムがヨーロッパでどうして普及しないのだろう?
と不思議ですが、少なくともデンマークでは一流ホテルに行っても
従来のトイレしか見当たりません。悲しいかな我が家とて例外では有りません。

2020年の東京オリンピックで世界中の人がウォッシュレットを体験したら
たちまち “ 世界トイレ革命 “ が起きるかもしれないと
内心楽しみにしている所です。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













 






クリスマスシーズンを迎えたコペンハーゲンから。
今年のクリスマスマーケットはAmager torv とKg.nytorvで開催。
赤いクリスマス♡の下を衛兵が行進するのもコペンハーゲンらしい光景ですね。
こうして聖夜までの3週間街中がクリスマス一色に染まって行きます。


【きょうのクロスステッチ Vol. 366】 by 岡村恭子

VOL.366 12月になりました。

       クリスマスシーズンの開幕です。

torsdag den. 1 december 2016

今年のカレンダーも最後の一枚になりました。
冬至まであと3週間…暗い季節のクライマックスを迎えています。
目覚まし時計でイヤイヤ起きる朝7時、まだ外は真っ暗です。
そして、夕方4時には早々と日が暮れて漆黒に塗り込められた
深くて長い夜が始まってしまいます。
明るい季節に貪欲なまで日光を浴びる人々の気持ちが
今頃になって良ーく分かるというものです。

そんなまっ暗な季節にクリスマスが有って本当に良かった!
人々はアドベンツキャンドルを灯して聖夜を迎える準備をします。
そう言うと敬虔なカトリックの国のようですが、実際には
親しい人とクリスマスランチを楽しんだり、遠くに暮らす家族が
訪ねて来たりして、レストランもカフェも大忙しの超満員、
街中が暗いけれど明るい、寒いけれど暖かい…
華やいだ雰囲気に包まれます。贈る相手の事を考えながらプレゼントを
選ぶのも今頃の楽しみの一つです。
ギーッ…と、レンガ造りの建物の重たい扉を開け明るい店内に誘われた時、
街灯に照らされた昔ながらの石畳を歩いている時、それから通りすがりの
家の窓辺にキャンドルが揺らいでいるのを見かけた時、シナモン、
カルダモン、アニスにチョコレート…クリスマスの香りに包まれる時、
ふと、アンデルセンの物語の中に紛れ込んだような錯覚を覚えたりして。
これも暗い冬のマジックかも知れません。

我が家の庭の枯れ枝もクリスマスの電飾でおめかししました。
今年のクリスマス休暇には甥夫婦が幼い息子を連れて遊びに来ます。
チビちゃんにとっては初めて尽くしの北欧のクリスマス☆です。
いつか大人になった時に懐かしい思い出として残ってくれたらいいな…。

チビちゃんと言えば、先日はエリック家族が遊びに来て、一足早い
クリスマスランチを囲みました。何を食べたい?という質問に、
一も二もなく「SUSHI !! 」
6歳の子供からこんな答えが返って来るなんて時代は変わりました。
了解!みんなで作りましょうね。
そうしてキッチンでお寿司の材料を整えながらも和食の料理本のページを
それは楽しそうに開いています。
「これもこれも!全部美味しそう!」 何と言う素敵な感想でしょう。
今から30年前、私がデンマークに来た頃はデンマークの人にとって
和食は未知の世界、SUSHIなどは想像外でした。
良い時代になりました。
日本からやってくるチビちゃんもデンマークのクリスマス料理を沢山食べて
そして、デンマークを好きになってもらいましょう!


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/








クリスマスディスプレイが行く人の目を楽しませてくれます。



みんなで手巻き寿司の材料を切ったり盛りつけたり…。 お寿司というよりサラダのようです ^_^
 






クラーラ(6才)とヨハン(3才)の置き土産です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 367】 by 岡村恭子

VOL.367 8回目のクリスマス ☆

torsdag den. 8 december 2016

ステッチハウスのHP表紙の写真そのままにコペンハーゲンは
クリスマス一色に染まっています。
https://www.stitchhouse.jp
…と書いて、ふと思いました。今年で何回目のクリスマス??
えーっと…そうです。
2009年の春にステッチハウスが誕生して以来ですから、
今年で何と8回目のクリスマスです。改めて、わー、すごい!と
今更のように驚いていますが、こんなに長く続けて来られたのは
取りも直さず延江さんの温かいバックアップと、このページを楽しみに
読んで下さる皆さまのお陰です。
感謝しながら、懐かしく『きょうのクロスステッチ』の
クリスマスシーズンのバックナンバーを読み返しています。(楽しい!)
→ VOL.30 もういくつ寝たらクリスマス?
→ VOL.119 もうすぐクリスマス☆
→ VOL.169 クリスマスのご馳走☆
→ VOL.267 クリスマスイルミネーションに誘われて☆

さて、8回目のクリスマスシーズンの今回は何を書こうかなあ?…

遅い朝の光が隣家の垣根越しに鋭角に差し込み、
キッチンの白いタイル壁に反射して一瞬眩しく明るいAM11:00。
私は買ったばかりのカメラを手にして説明書を解読中です。
雑誌や新聞記事の早読みが得意と自慢の私ですが、どうも説明書は
勝手が違います。聞き慣れないカタカナにアルファベット表示、
何度読み返してもピンと来ない。それでも何とか無理矢理OK!を出して、
まずはテスト撮影がてらクリスマスの風景を撮りに行く事にしました。
天気予報では明日から下り坂、今日を逃してなるのものか!…です。
仕事帰りの家人も合流して一緒にクリスマスのストロイエ周辺の散策です。
暮れなずむ夕暮れの空を背景に浮かぶ国会議事堂のシルエット、
見上げる空には白い三日月。人々のざわめく通りを きれい、きれい、と
言いながらシャッターを切る私はまるで北欧取材のカメラマン気分です。
絵ハガキのようなニューハウンの街並、クリスマスマーケットの賑わい、
クラリネットを吹くサンタクロース、赤い帽子を被ってはしゃぐ子供達、
華やかなショーウィンドウetc.etc. 一体何枚撮ったでしょう?
大満足で帰宅早々、PCにインストールしようとしたら…あららっ??
上手く入らない。どうやら、サイズ設定の間違いだったようです。
説明書とカメラを交互に睨んで腕組みしたって後の祭り。
やっぱり” 苦手な説明書 “ でした。
というわけで、残念ながら今回の写真は使えず、私の横で家人が
撮っていたスナップショットを代役に抜擢することに相成りました。!


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




小さいキラキラは庭木の枝に架けたクリスマス電飾です。
ガラスに反射して不思議な雰囲気に撮れました。







ニューハウンも沢山の人で賑わっています。
 


ニューハウンをバックに自撮りをしているガールズ、楽しそうです。

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