2016年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 360】 by 岡村恭子
VOL.360 秋の夜長のコペンハーゲン便り
torsdag den. 20 oktober 2016
今週は秋休みです。
そういうことなら朝寝坊しても良いだろう、と言うのは誠に勝手な
口実ですが、実際問題この時期は朝の目覚めが今ひとつ爽やかではない。
原因は簡単です。一言、朝が暗い!… これです。
春から夏にかけてのあのワクワクするような、
毎朝、起きるのが楽しみになるような、目覚める度に右肩上がりに
明るくなってゆく季節の正反対です。
急降下で冬至に向かってまっしぐら。暗いトンネルに潜って行くようです。
日増しに日照時間が短くなり、太陽は日ごと遠く、低く、弱々しくなって
来ています。
今月末に冬時間に切り替わります。わずか1時間時計の針を遅らせる
だけなのに、一瞬朝が明るく感じられてすごーく嬉しい。
それまでは目覚まし時計にせっつかれないとベッドから出られそうもありません。
今からこのような事で大丈夫?という声が聞こえて来そうですが、
…ハイ。だいじょうぶ!
そうこうしているうちにクリスマスシーズンがやって来て、
何だか街中が気ぜわしく、慌ただしくなるのです。
昔から北欧の人々にとってクリスマスは “ 暗さ “ を紛らわせる大イベント
だったに違い有りません。そして、北欧刺繍も又、春を心待ちにする
女性達の気持ちの表れなのだということが、とても自然に納得できます。
つるべ落としの秋の夜長に、赤い帽子の愛らしいニッス(=クリスマスの妖精)
や春の草花のモチーフなど、色とりどりの刺繍に囲まれ“ Hyggelig! “ な
ひと時を過ごす。窓辺にキャンドルを灯し、親しい人へのクリスマスプレゼント
を、あれこれ考えながら丁寧に心を込めて一針一針刺してゆく…。
時間がゆっくり過ぎて行きます。
ステッチハウスを通じて刺繍に親しんでいる皆さまも、クリスマスの
オーナメントに色糸を刺しながら、そんな北欧の四季を想像して
楽しまれているのだと思います。素敵な事ですね。
冷たい風に街路樹も葉を落とし、道路に枯れ葉がカサコソ乾いた音を
立てて舞っています。秋休みの子供達が吹きだまりの葉ッパを蹴って
遊んでいます。観光シーズンも一段落した10月のコペンハーゲンは
街行く人もお店ものんびりとした様子です。
ロイヤルコペンハーゲン本店前に全身ゴールドずくめの天使が立っていました。
女の子なら誰もが素通り出来ないストロイエ名物の天使パフォーマーです。
コインをチャリ~ン!…すると、それまで石のようにじっとしていた天使が
ゼンマイ仕掛けの人形のようにクルンと動きだし、☆のスティックを
かざして良い事が有りますように…おまじないをしてくれるのです。
まるでディズニーアニメから抜け出たようなパフォーマンスに少女達は
夢見心地。いい歳をした私まで “ 遠い過去に置き去りにしていた少女心 “ を
くすぐられそうになった秋の昼下がりでした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
これは町内の広場に植わっているプラタナスの木。
小さなトゲトゲの実を沢山付けてボンボリみたい!
金色天使です。少女の頭に☆のスティックでチチンプイプイっとおまじない。
神妙にしている女の子達が可愛いですね。
室内に取り込んだゼラニウム、全部で18株になりました。