2016年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 363】 by 岡村恭子
VOL.363 東京最終日の夜日記
torsdag den. 10 november 2016
今回の休暇も最終日になりました。
デンマークから成田に到着した頃はあまりの暑さにビックリ。
念のためトランクの隅に丸めて入れて来た夏物を得意げに引っ張り出して、
読みの深さを周囲に自慢していた日々から3週間。
今夜は木枯らしが吹いています。寒いです。
これまたトランクの底にクッション代わりに敷いて来た厚手のコート
の襟をかき分けて最終日の夜を歩きながらポケットに手を突っ込んで、
寒い!と言いながらデンマークの天気予報を見たら気温2℃!
いざ、覚悟です。パタンッ!…とトランクを閉めたら気持ちを “ 帰りモード “
に切り替えましょう。
…ああ、楽しかった~。思い出すまま、忘れないうちに書く日記です。
長野で善光寺参りと谷口吉夫設計の東山魁夷美術館探訪。
信州をこよなく愛した画家の作品を鑑賞する静謐なひと時、
信州そばに舌鼓を打ったり、裏通りの古道具屋さんで掘り出し物に
出会ったお楽しみのひと時。なにより家人の家族との和やかなひと時。
長野の3日間は瞬く間に過ぎたのでした。
偉大な “ おのぼりさん “ の私は東京再発見にも余念がありません。
今回はまず地元っ子の案内で自由が丘、恵比寿探訪から始まり、
池波正太郎的な世界が広がる人形町から室町、日本橋界隈へと探検は
進みます。わざと裏道をクネクネ歩いて迷子になりながら、気づいたら
銀座まで来てしまった。高輪も湯島もそして駒込も佃島も大好きな街に
なりました。東京は広い!新旧渾然一体、洗練と猥雑さの混沌、実に奥が深い。
公園や並木や家々の植え込み人家の垣根など 実際に歩いてみると緑が多い
ということに驚きます。路地に小さな花が咲いているの見かけると、
丁寧に日々を送る東京人の息づかいが伝わっても来ます。
立て込んだ住宅の間に小さな祠などを見かけると、その辺から小粋な小説の
主人公が出て来そうな気がするのも東京下町っぽくてイイネ、と書きながら、
小粋と言えば、今回は念願叶って人間国宝の落語家、柳家小三治の独演会にも
行く事が出来たと付け加えたい。味わい深いひと時でした。
毎回日本に帰って来る度に気持ちの通じる友だちがいてくれる事が、
どんなに貴重な事かとしみじみと思い至った3週間でもありました。
元気でいようね。毎回同じ事を確認し合っているけれど、その言葉の重みが
年々増して来ていると感じます。
アメリカの次期大統領が決まったニュースを聴きながら、
そろそろ帰り時だね。家人が言いました。
やっぱり私達にとってはコペンハーゲンの家がHOMEなのです。
歩道の落ち葉が積もってしまっているかもしれない。
帰ったら掃除しなくちゃ。
沢山の思い出を詰め込んでコペンハーゲンの我が家に帰ります。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
秋の善光寺
東山魁夷美術館
周辺の自然に溶け込むかのように水面が風に揺れる静謐な
雰囲気漂う美術館です。
おそばやさんの暖簾。
銀座4丁目のWAKOのショーウィンドウ。大きなシロクマ親子
時々顔を動かして本物みたい!
東京駅丸の内。昔の駅舎を保存改築した天井が美しい。