2017年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 374】 by 岡村恭子
VOL.374 2017年 早春賦
デンマークに暮らして思う事
torsdag den. 16 februar 2017
2週間お休みしていた間に雪が降り、積もり、そして 解けて、
今日は気持ち良い小春日和です。
冬至の頃より2時間10分も日照時間が延びたそうで、どおりで明るい!
雪解けの黒い土の下からツンツンと春の花の芽が顔を出し始めました。
庭の様子をお知らせしたいと、カメラを手にしたまま久しぶりに
広がった真空を見上げて、そうかあ、ここはコペンハーゲンなのねえ…
と今更ながらの独り言です。
結婚を機にデンマークに暮らし始めたのは1980年ですから、
今から37年も前になります。自分でも驚くくらい長い年月なので
人に聞かれた時には少なめに30年くらい、と答えることにしています。
それでも大抵の人は驚いたり呆れ返ったりしてしまいます。
光陰矢の如し。今になって ああも出来た、こうもしたかった…と
思っているけれど、後の祭り、後悔先に立たず で、
暢気に日々を積み重ねて今になってしまいました。
家人の仕事の拠点だということもあるけれど、
それ以上に私とデンマークとは相性が良いのかな?とも思います。
“ 住めば都 “ のコペンハーゲンなのです。
既に書きましたが、今年は日本とデンマークの友交150周年という
記念すべき年です。同時にその年(1867年)というのは徳川幕府が
江戸城を明け渡し明治維新が始まったという、日本の歴史が大きく変わった
年。 “ 最後の将軍 “ 徳川慶喜はさぞかし多忙であった事でしょうに、
(将軍業に嫌気がさして楽隠居になりたかったという話も有りますが)
とにかく、徳川幕府がその300年の歴史に幕を閉じようとしている
最中に、デンマークとの通商条約の締結した将軍慶喜の心境はどのよう
だったのか?と興味が湧きます。
以来150年、様々な時代の波を越えて友好関係が続いてきたと
思うと感慨深いです。
デンマーク刺繍に魅せられてステッチハウスに来て下さった皆さまをはじめ、
かつて日本の伝統工芸から影響を受け、シンプルで機能的な北欧デザインを
確立した…、その北欧デザインのファンも沢山いるのですから、
やっぱり両国は相性が良いのですね。
ふと、フィンランドに暮らす知人が「デンマークの森は日本と似て優しい。
フィンランドの森は人を拒絶する厳しさがある」と言っていたのを
思い出しました。
庭の桜の老木も早春の訪れを待ち望んでいる様子です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
今日の庭から、雪解けの芝生の間からは可憐なエランティスの黄色い花。
庭先のテラスも早春の陽射しを受けて気持ち良さそうです。
街角スナップ。
メトロの工事現場のフェンスにステッチ刺繍が!モチーフが可愛いですね。
デンマークの人は少しくらい寒くてもお天気が良ければ外カフェです。