2017年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 379】 by 岡村恭子
VOL.379 日々の暮らしに息づく工芸デザイン展 『和』
at A.Petersen : Copenhagen
torsdag den. 23 marts 2017
10月末に冬時間になってから5ヶ月が過ぎて、
いよいよ待ちに待った夏時間の出番となりました。
3月最終日曜日、am 2:00に公式時刻がam3:00に切り替えられます。
いつも通りに起きたのに、一時間寝坊!という事になってしまう。
この日、時計の針を逆回りさせないようにと、デンマークの人は
ガーデンチェアを「 出す」&「 戻す」と覚えます。
夏時間は「 出す」冬時間は「 戻す」…なーるほど分かり易い。
それに、ガーデンチェアという所が如何にもデンマークらしい。
さあ、庭に椅子を出しましょう!
途端に、通りのカフェも、運河沿いのベンチや広場にも、
日だまりという日だまりに人々が憩い始めます。
明るい季節の幕開けです。
家人が家具デザイナーという仕事柄、家具に限らず様々なジャンルの
“ デザイン “ に触れる機会が多く、その度にデニッシュデザインは
日本人の感性と響き合うものがあると感じて来ました。
デンマークの伝統的なクラフトマンシップから生まれた、
シンプルで機能的なデザインは不思議なくらい “ 和の空間 “ にも似合います。
どうやら、その根底には両国の人々の“ カタチ “ に対する共通の
美意識が有るようだ、とも思って来ました。
コペンハーゲンのギャラリーショップ : A.Petersen http://apetersen.dk/
で始まった、日本の優れたデザイン工芸品を紹介するイベント『和』。
広い空間に浮遊するようにディスプレイされているのは、選りすぐりの
日本の工芸品の数々です。陶器、竹細工、樽、木工小物、布、銀細工、等々。
いずれも無駄の無い機能美に満ちています。
レセプション当日はオープンと同時に来場者がひっきりなしの大盛況。
日本の伝統文化やデザインに興味を持ち、知識も豊富な人が多いのにも
改めて驚きましたが、私にとって大好きな二つの国が、デザインという
共通項で理解し合える事がとても嬉しくて、文化交流という使い古された
言葉が俄に新鮮なイメージで浮かび上がっても来ました。
帰宅後、改めて身の回りを観察してみると、例えば、
スティック2本という究極のカトラリー 『 箸』を筆頭に
適度な抵抗感でスーッと持ち上がる茶筒のフタなど、普段何気なく
使っている道具の中にデンマークの人が感心するポイントが
沢山潜んでいる事に気づかされ、改めて暮らしに息づく” 和 “の
世界を見直す日々となりました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
“ 和 “の会場風景より。
高度な職人技による日本の伝統工芸品の数々。
『Learning from Japan展』 を思い出します。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1280.html
今日の庭から。黄色のクロッカスは盛りを過ぎて、紫クロッカスが満開、
ミツバチも飛び交い始めました。