2017年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 413】 by 岡村恭子
VOL.413 人懐かしいクリスマスシーズン 💌
相手を思い、心を通わせる
torsdag den. 8 december 2017
それは、ようやく春の日差しが明るく感じられるようになった頃の
ことでした。
コペンハーゲンのギャラリーショップで、普段はなかなか見ることのできない、
デンマークの陶芸作家Kirsten Slothの作品を鑑賞する機会がありました。
いずれも片手に乗ってしまうくらいの小さな愛らしい陶器が全部で100個!
私はその中から花のモチーフが描かれた一つを選び、予約済みのシールを
貼ってもらいました。作品は引き続き展示される為ずっとお預け状態でしたが、
先日ようやく “お待たせしました。受け取りに来てください。” との知らせです。
当日はこの日を楽しみにしていた人が…えーっと、100個だから簡単計算で100人、
同伴者も加わって更に賑やかです。
まるでクリスマスプレゼントをもらう時のようだ、と笑いながら作品を受け取り、
ひと通りの挨拶を交わした後、
ところで、彼らは相変わらず元気でしょうね?!と、キアスティンが
親しみのこもった、でも、ちょっぴりいたずらっぽい笑顔でたずねました。
“ 彼ら “ とは家人とエリックのことです。
実は三人は同じデザインスクールで学んだ仲間、おまけに偶然とはいえ、
後に彼女の結婚した相手が家人たちのデザインした家具を取り扱う
ビジネスパートナーだったのですから、縁とは不思議なものです。
おかげさまで、元気元気!と私も笑って答えながら、
何年たっても気心の知れた友達がいるのは幸せなことだとしみじみ思いました。
そして、秋に東京で会った学生時代からの友達とのひと時がフラッシュバック。
風邪気味だとブツブツ言いながらも頼り甲斐のある彼女と、
会う前日に転んでしまい杖をついてやって来たおっとり彼女の計二人。
久しぶりの再会が風邪ひきと骨折だなんて!と笑いながら、私だけ元気なのは
デンマークが水にあっている証拠だ、と言うことになったのでした。
会えば、たちまち学生時代に戻って、それだけで居心地よく心が和む。
たとえ、おしゃべりが途切れても(そんなことあまりないけれど)
気まずくならないのは気持ちが通じているからなのだろうと思います。
お互いの個性を尊重したいという気持ちになってきたのも年齢を重ねたお陰と
言えそうです。
いつまでも元気と思ったら大間違い。会える時に会っておこう!と、
今回も冗談半分に言い合ったけれど、それも結構切実に感じられる年齢に
なって来ました。
さて、小さな器を受け取っての帰り道、
眩いくらいクリスマスイルミネーションに彩られた通りを歩きながら、
北欧のクリスマスは親しい人同士が親睦を深めてお互いを一層身近に感じ、
相手を思いやり、心を通わせる…。そんな人々の気持ちがキラキラ輝く
イルミネーションのように幾重にも重なり合っているような気がしてきました。
そうして、みんな ひとりぽっちじゃないよね、と確認しているんだね、きっと。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
クリスマスシーズンのコペンハーゲンは深い闇の下でキラキラ輝くようです。
マーケットからは甘いお菓子の匂いが。
カフェやレストランもたくさんの人で賑わいます。
小さな陶器を手にして、人の縁の大切さを改めて思った週末でした。