2018年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 451】 by 岡村恭子
VOL.451 北欧の暮らし
便利なようで不便な世の中。
lordag den. 27 oktober 2018
10月最後の週末となりました。
外は冷たい雨です。
クリスマス商戦がスタートして、訳もなく気ぜわしい頃となりました。
娘が幼かった頃は年末の声を聞く頃になると、日本からたくさんの
クリスマスプレゼントが届き、郵便屋さんが来るのを楽しみにしたものです。
すっかり顔見知りになった郵便配達のお兄さんに小さなチョコレートの包みを
渡して今年一年ありがとう、と挨拶を交わすのもささやかな楽しみでしたが、
それも今は遠い思い出話となりました。
第一、赤い自転車に赤い上着姿の郵便屋さんがもういないのです。
デジタル化によって郵便利用が激減する中で、それまでなんとか運営して
きた “ デンマーク郵便 “ が経営破綻、とうとう” スウェーデン郵便 “ に吸収
されてしまったのです。赤い自転車に変わってスウェーデンカラーの
ターコイズブルーになってしまった、と同時に街角の郵便局が次々と姿を
消してしまった。と、 “ …しまった話 “ は尽きません。
以前は中3日もあれば届いていた日本へのエアメールが時には2週間も
かかってしまう。不安なのでEメールで手紙の受け取り確認をする始末です。
小荷物を送るのも近所の郵便局がなくなってしまったので
遠くまで足を運ばなければならず面倒この上もない。
数年前までは旧市街地の真ん中に石造りのいかにもヨーロッパの郵便局ですよ、と
いう雰囲気の郵便局と、それに隣接してポストミュージアムが有って、
珍しい記念切手が買えたし、併設されたカフェでラウンドタワーを
望みながら延江さんとおしゃべりを楽しんだのになあ…という
“ 残念話 “ も尽きません。
こんなひどい状況だというのに日本にハガキ1枚送るのに27クローネ=
約520円もする、と文句の付け所満載の郵便事情です。
郵便局ともう一つ、街角から姿を消しつつあるのが銀行です。
いくらネットバンキングが日常化したと言っても、やっぱり町内に一軒くらい
自分の取引銀行が有ったっていいじゃないの?!と思うのですが、どうやら
顧客へのサービスよりも合理化と経費節減が優先されるらしい。
その大きな要因は急速に進んでいるキャッシュレス社会です。
アナログ人間の私でさえ、最近はカードで買い物をすませ、気づくと
お財布の中に現金がなかったりします。現金を持ち歩かなくて済むのは
安心ですが、一方で大雑把な金銭感覚になるような気もしています。
果たして急速に進化するデジタル社会が私たちにとって豊かな社会と言えるのか?
便利さだけを追い求めてそのまま進んでしまって良いのかなあ?
郵便屋さんと挨拶を交わしていた頃を懐かしむ私は時代遅れなのかなあ?
ちょっと首をひねってしまうことの多い今日この頃です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
この山型の赤いポストと黄色いラッパが “ デンマーク郵便 “ のトレードマーク、
幸いにも?赤いポストは未だ健在です。
数年前の夏の一コマ。
暑中見舞いの手紙を書こう!というイベントから。
私も一枚ハガキを日本に投函、赤い上着の郵便屋さんが特別のスタンプを
押してくれました。
今は無きポストミュージアムの展示風景から。
昔はスカンジナビア諸国を船で郵便を運んでいたのだそうです。
ポストカフェ。
ラウンドタワーがすぐ目の前。ショッピングの途中にも立ち寄れるという
便利で居心地良いカフェでした。なくなってしまって残念!