きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 513】 by 岡村恭子
VOL.513 春爛漫のコペンハーゲンより。
何気ない普通の暮らしの有り難さを知る。
søndag den.22 marts 2020
連日、青空が広がり、
まことに春らしいお天気が続いています。
さて、
日増しにコロナウィルス感染拡大の様相を呈しているヨーロッパですが、
デンマークは今のところ、急激な感染拡大を食い止めて頑張っています。
医療体制の万全を期するため緊急プログラムを組みつつ、
政府は今後更に感染拡大の恐れがあると国民に警告を発しています。
が…しかし…、
お天気の良い日には “ 何はさて置き日光浴!” という、この国の人達の事です。
青空の広がるポカポカ陽気にウキウキせずにはいられない。
仕事も学校もお休みで時間を持て余しても、どこも休業、家族でさえ
不要な行き来はできない、もちろん様々なイベントも中止… となると、
自然と足の向く先は公園や水辺の散策です。考えることは皆同じ。
おかげで、どこも大混雑になってしまいました。
見かねた市当局が苦肉の策として、運河沿いの遊歩道を一方通行にして、
散歩もジョギングも同じ方向で一定距離を空けて楽しむよう、
標識を立てましたが、(案の定?)全く効果がないようです。
思えば、毎年冬の間猛威を振るうインフルエンザも
春の日差しと共に収束するということを知っている人々が、
バイ菌(ウィルスも!)なんて日光浴でやっつけちゃえ!… という
気分になるのも無理ないこと、自分も含め、目に見えない敵と戦うのは
なかなか難しいものと痛感します。
そんな非常事態ではあるけれど、幸いなことにスーパーマーケットは
通常通り営業、商品も棚に溢れています。入場制限もありません。
レジに並ぶ時だけ1メートル間隔のシールが貼られてはいますが、
それ以外はなんら変わったところは見当たらない。否、もしかすると、
変わったのは私たち自身の気持ちかもしれません。
元来ソーシャルな考え方が根付いているデンマークでは、
困っている時こその助け合い精神が旺盛で、今回も自然発生的に
助け合いの輪が広がっています。
我が町内会のFacebookにも「自宅待機の子供がいて出られない人や
感染リスクの高い高齢者に代わって買い物をヘルプ」などの書き込みが
増えているようです。
私自身は、スーパーに行く度に店内に溢れている商品を見ては、
これが当たり前と思うべからず、と戒めている今日この頃です。
とにかく、こういう時は庭仕事に精を出すのが一番です。
毎日少しずつ草臥れない程度に。若い頃は一日中土を掘り返したりして
いましたが、今はもう本当に少しずつ、目についた箇所から坦々と、
あまり気が向かない時は、ベンチに座って眺めるだけ。
そうして、ああしたい、こうしたいと想像の羽を広げて楽しんでいます。
大きな桜の木がなくなってしまった庭はポッカリと大きな穴が
空いてしまったようで、とても寂しい。
そんなことを愚痴ったら、それはそれで「桜らしい」と、
さらりと慰めの言葉が返ってきました。そして、その
「桜らしい」という一言に私の気持もとても軽くなったのでした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
植え込みの下や、リンゴの木の根元に群生して咲く春の小花が愛らしい。
てんとう虫も日向ぼっこ?!
桜の木がなくなって、広々としてしまいました。
煉瓦塀の向こう。通りを隔てたお向かいの家々の庭も
春めいてきました。
ふと見上げた空にふうわりと浮かんだまあるい雲。綿アメみたい!