きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 527】 by 岡村恭子
VOL.527 デンマークの暮らし
...そして、静かな夏休みが始まった。
søndag den. 28 juni 2020
ここ数日、真夏日が続いています。
日中、気温が30度近くまで上昇して
直射日光の下にいるとジリジリと焦げるようです。
緯度が高い北欧では、太陽との関係が夏と冬では両極端。
例えて言えば、冬は会いたいのに会えなくなるけれど
夏至の頃は身近も身近、まさに密接近です。
ここ数日はどうにもくっつき過ぎて暑苦しい...という感じです。
朝のうちに花壇のメンテナンス、家事も買い物も涼しいうちに簡単に済ませて、
午後からは読みかけの本と一緒に日陰を求めて ” 怠け者化 ” してしまう。
夕食後は庭先の椅子で取り留めないおしゃべり、
夜中も窓やベランダのドアを少し開けたまま、
風の通り道を追いかけるようにして毎日を過ごしています。
23日は夏至祭でした。
今年は恒例の焚火やライブコンサートは中止になってしまいましたが、
小規模な集まりは解禁、高校の卒業イベントも許可になりました。
感染予防の対策注意付きではありますが、ちょっと嬉しい。。。
そんな気持ちを乗せて、高校の卒業生を乗せたトラックが
風船をいっぱい付け、クラクションを鳴らしながら賑やかに
行き交います。車の手配からコースの予定まで全て自分たちで計画し、
丸一日かけて生徒の家々を周り祝福を受けるという、
高校生活最後を飾る卒業記念イベントです。
迎える方も工夫して待ち構えますが(娘の時に海苔巻きを大量に
作ったのを懐かしく思い出します。)大概はプログラム通りに進まない。
何しろ、移動中ずっと飲み続けているので時間と共にみんな酔っ払って
しまい(デンマークは16才から飲酒可)最終コースに当たった家などは
すっかり待ちくたびれてしまう、という両者ともヘトヘトな一日となります。
でも、この国では雛が巣立つように、卒業後には親元から独立するのが 一般的で、
そんなこともあって、親は子育てが終了したという安堵感と 一抹の寂しさを胸に、
子供たちの卒業を心から祝うのです。 以後はお互い独立した個人として認め合い、
一定の距離感を持って 暮らして行く。卒業イベントを始め、
誕生日など記念日を殊の外大切にするのも、
家族の絆の確認をしたいからに他ならない、と私は思っています。
そして、それが終われば全国一斉に長い夏休みに入ります。
早くもハイウェーは都会から地方へと向かう車の渋滞です。
逆にこれから3週間、街は静かになります。
いつもならハイシーズンを迎えて賑やかになるコペンハーゲンの
観光スポットも静かな夏休みになりそうです。
毎年誰かしら(家族のメンバーや友人知人)が遊びに来て
賑やかになる我が家も今年は静かです。
今年こそ!と張り切っていた親友も来られなくなってしまって、
いつでも会えると思っていたら大間違いだ、と痛感します。
日本⇄デンマークの距離をこんなに恨めしく思ったことはありません。
直行便で11時間ちょっと。飛行機でひとっ飛びと思っていたけれど、
日本外務省からの「さらなる水際作戦強化」という知らせに
またしても凹まされてしまった週末でした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
賑やかだと思ったら、垣根ごしに卒業生を乗せたトラックが!
暑い日はなるべく簡単に。パスタの頻度が増えます。
今日の庭から
10年目にして初めて花が咲いたオリーブ。
馥郁と香るバラにラベンダー&色づいてきたラズベリー