きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 582】 by 岡村恭子
VOL.582 デンマークの暮らし 夏休み明けの日々雑記。
mondag den. 10 augusti 2021
長い夏休みが終わって、街にいつもの活気が戻ってきました。
新学期が始まり朝の登校時間はちょっとした自転車ラッシュです。
子供たちの弾む声に ” 普通の日常” が戻ったようで嬉しい。
一年前、先の見えないウィルスとの戦いで不安に陥っていた頃とは違い、
社会全体がコロナ禍の日常をこなす術を心得た感があります。
夏休み最後の週末、外出からの帰り道、
隣家のクローエちゃん(9才)がお友達とお店を開いていました。
遠くから手を振って、ぴょんぴょん跳ねながら歌うように。
「おいしいレモネードはいかが~?搾りたてのレモネード5kr.!!」
「はいはいイッパイくださいな。」
二人して真剣な表情で小さなコップに注いでくれました。
彼女たちが大人になった時に、コロナでどこにも行けなかった夏休み、
レモネード屋さんごっこをして遊んだ事を思い出すのでしょうか?
子供の頃の思い出は歳を重ねるごとに鮮明に蘇えるようです。
「あれも俺かなあ...」と遠い目をして家人が呟きました。
子供の頃、栗の木に登ったはいいけれど下りられなくなり
心臓が破裂するくらいドキドキした時のこと、
夏休みの工作で天体望遠鏡を作って夜空の星を眺めたことなど、
懐かしそうに話してくれます。
私の幼い頃の夏休みの思い出といえば家族で出かけた海水浴です。
電車で30分ほどの逗子海岸と決まっていたのですが、
出かける前に母が西瓜にサラシの手ぬぐいを被せ、
水道の蛇口を ほんの少しだけ開けておくのです。
チョロチョロと流れる水が手ぬぐい伝いに大きな西瓜の頭を撫でてゆく。
帰ってきたら冷たいスイカを頬張るんだ!...と、
それが子供達にとって一番のお楽しみなのでした。
あの時の西瓜、思い出の中ではキンキンに冷えていたけれど、
実際には水道水ではそんなに冷えていなっかのかもしれない。
子供時代の記憶は上手にリメークされているようです。
私たちの育った時代はまだまだ戦後という言葉がふさわしい頃で、
大人たちは復興の真っ只中で苦労していただろうと思います。
そんな中でも楽しい思い出を作ってくれたことに感謝しなければと
今になって思います。
生まれて最初の記憶はなんだろう? どんな記憶でもいい、
幸せや喜びや、嬉しいとか楽しいという感情を 芽生えさせてくれる、
そんな記憶が焼き付いてくれたら、
例えその先で困難に遭遇しても乗り越えられるだろう、と
漠然と考えたりしています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
外回りメンテナンス。今回は裏庭の手すり塗装。
細いパイプの囲いはヤコブセン設計の特徴。
見た目は綺麗ですが手がかかります。
街角スナップ
夏休み最後の週末のストロイエ。多くの人で賑わっていました。
ロイヤルコペンハーゲンの涼しげなディスプレイ。
父親と一緒の子供たち。
育休制度が完璧なデンマークならではの風景。
買い物の途中で一休み。