きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 592】 by 岡村恭子
VOL.592 デンマークの投票率の高いわけ。
Hvad for & Fordi に込められた意味とは?
torsdag den. 21 oktober 2021
朝から雨が降り続いています。
ところによっては一月分のまとまった降雨量になるとのこと、
芝生の上を長靴で歩くとギュッギュッと音を立てる。
昼間というのになんだか薄暗くて元気が出ません。
室内を明るくしたくて少し早いけれど、クリスマス用の
小さなLEDライトを窓辺に置きました。
これから長い冬に向かい暗い季節をいかに快適に過ごすか?
アイデアと工夫で楽しもうと思います。
さて、
在デンマーク日本大使館から選挙投票のお知らせが来ました。
海外在住の有権者は19日公示で翌20、21日の両日が投票日になるとのこと、
なんとも忙しない。そんな短時間に投票するべき候補者を絞り込む
なんて出来っこない!と思いつつ各候補者のページにアクセスすると、
おお〜、前回の衆院選の時に比べると随分進化しています。
これからはソーシャルメディアを効果的に利用した候補者は有利な反面、
時代に乗り遅れてたら不利だろなあ、と思いつつ一覧。
海外在住有権者が投票するには欠かせない情報として、
これからの政治家はその辺のセンスも問われることでしょう。
因みにデンマークの選挙時の投票率は平均85%ととても高い。
この一点からだけでも国民の政治への関心が非常に高いことがわかります。
選挙戦ではまるでフェストかイベントのように連日盛り上がり、
家族、友人、時には子供も一緒になって支持政党を論じ合います。
その賑やかなことと言ったらありません。
これが噂の? ” デニッシュデモクラシー “ 。
そうなんです。わざわざデニッシュと但し書きしている程、
この国の社会を支える基本はデニッシュデモクラシーという
考え方に基づいているのです。
もちろん日本も民主主義国家ですが、両国を比較すると基本理念が
随分異なるようです。
デンマークでいう「民主主義」は単なる多数決による議会政治や
選挙法ではなく、国民一人一人が自分の意見を持ち、それらを反映できる
環境を整えるということが基盤になっています。
既に初等教育からまず自分の意見を持つことを学びます。
日常の些細なこと、例えば好き嫌いのことなら、なぜ好きなのか?
嫌いな場合も然り。常に自問自答して答えを導き出すよう授業や
遊びの中で学び、自然に身につけてゆくのです。
私がデンマークに来たばかりの頃、会話で「Hvad for?」=「どうして?」
という問いかけが多すぎて、一体、この国の人は相手を察するというとこが
できないのか?と不思議に思ったものですが、実はこの「Hvad for」
の後に来る答え「Fordi…」「なぜならば…」がデニッシュデモクラシーの
基礎とも言える、自分の意見を持つという考え方につながってゆくのだと
気づくまで随分時間がかかりました。
子供同士の会話でも頻繁に「Hvad for 」と 「Fordi 」が行き交う。
こうして漠然とではなく、言葉にして明確に自分の考えを述べる習慣が、
やがて自分の将来や地域社会に対して、さらにグローバルに自分が
何をどうしたいのか?明確な考えを導き出せるようになるのだと
この国の政治を見ていて思います。
とりあえずは今回の衆議院選挙もまずは自分が将来の日本の舵取りになった
つもりで一票を投じることから始まると思っています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
紅葉に彩られた10月の植物園。
Torvhallenには秋野菜が山積み!
オレンジ色のカボチャが元気をくれます。
紫色のカリフラワーも!