きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 607】 by 岡村恭子
VOL.607 デンマークの暮らし 阿吽の呼吸で半世紀
torsdag den. 10
torsdag 2022
年が明けてから記録的に暖かい日が続き、
どうやらこの冬も本格的な雪景色を見ずに終わりそうな気配です。
レンギョウの枝先がぷっくり膨らんできました。
春がそこまできている気配です。
デンマークのマーガレーテ女王が御在位50年を迎えられたのに続き、
イギリスのエリザベス女王も御在位70年を迎えられました。
81歳と95歳という高齢にも関わらずお二人ともお元気そうで何よりです。
そういえば、TVの長寿番組「徹子の部屋」があと3年で50周年とか…
“ 長寿“ を喜ぶ話題が続いていますが、同様に私の身近なところでも
家人たちのデザインオフィスが、2年後に50周年を迎えます。
実はつい先日、相棒のエリックから聞いてビックリ!
40周年記念イベントを東京で開いたばかりだと思っていたのに、
本当に月日の経つのは早い。(詳細は↓)
https://ayanomimi.com/ja/om-design-x-eiri-iwakura-talk-event-in-tokyo/
http://copenhagensmile.weebly.com/om-design.html
家人がデンマーク国立工芸学校に留学するためコペンハーゲンに来たのは
若干22歳の時。旧ソビエト連邦時代にシベリア鉄道での長旅は、まさに
「青年は荒野目指す」的な冒険気分だったかもしれません。
旅の途中で壊れてしまったトランクをロシア人のおじさんが無言で直して
くれた時の心温まるエピソード、ルーブルを使い切るため行列してカンパンを
山盛り買ってしまったこと、ソビエトからヘルシンキに入った時の開放感etc.
そうしてようやくたどり着いたコペンハーゲンはまるでお伽噺の世界のように
感じたそうです。今よりずっと地球は大きくて世界は広かった…
彼の思い出話に耳を傾けながらつくづく時代の流れを感じます。
昭和の頃、大人たちが「明治は遠くなりにけり」と憂いていましたが、
令和の今、日本では昭和がブームになって、若い人は昭和ファッションを
カワイイ〜と言い、団塊世代は当時を懐かしむ。
私もYouTubeで昭和の街の映像を見ると、都会の雑踏の中に当時の自分が
混ざっている様な気がします。それほど懐かしい風景に感じます。
話が少し逸れたけれど、
とにかく、日本とデンマークがとても遠く感じられた時代にあって、
彼はホームシックになるどころか、気の合ったクラスメート(=エリック&
もう一人の三人)とデザインオフィスを設立したのです。
自由なお国柄とは言え少々無謀な行動に、担任の先生から三人の共同経営は難しい、
というアドバイスをもらったそうです。
数年後、先生の言葉が的中。以来、エリックとの二人三脚です。
日本人としてのプライドを保ちながら、デンマーク人のパートナーと
デンマークで仕事をするのは口で言うほど簡単ではないと想像できますが、
今ではお互い“阿吽の呼吸” です。
途中からは私と娘という家族も加わって、気がつけば半世紀、
人にはそれなりの歴史あり、しみじみそう思える今日この頃です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
春が待ちどしいコペンハーゲンの街角スナップ(2月5日撮影)
ここは北欧。暖かいと言ってもまだまだ冬の景色です。
今夜は我が家特製ピザ。
ポルトガルのワインと南スペインのイカリング(冷凍食品)で。