2010年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 36】 by 岡村恭子
VOL.36 春を先取りチューリップ
torsdag den 28. januar 2010
我が家のキッチンにベンチのコーナーが有ります。
家人が新聞を読むのも、私が家事の合間にコーヒーブレイクするのも、
娘が幼かった頃は料理中の私とおしゃべりしながら宿題をしていたのも、
このベンチでした。
冬の間はそのコーナーにキャンドルを灯します。太陽から遠ざかってしまう
暗い季節に欠かせない、朝の日課です。それが、ここ数日、
キャンンドルの事などすっかり忘れてしまっていた事に気が付きました。
いつの間にか窓から朝日が差し込んで来るようになったのです。
朝のキャンドルは今度の秋までサヨナラです。うれしいです。
気温は氷点下ですが、今朝は庭の小鳥がさえずっていました。
桜の木の芽も赤さを増して来ています。
そろそろ根雪の下から早春の花、スノウドロップやエランティスの芽が
出始める頃です。自然界は少々の寒さなど、ものともせず、
日照時間に敏感に反応する様子です。
映画「となりのトトロ」で庭に出て来たドングリの芽を発見した、
さつきちゃんとメイちゃんが『夢だけど、夢じゃなかった!』と
喜ぶシーンを思い出します。『寒いけど、明るくなって来た!』
…そして、北欧に暮すという事は、実にそういう事なのだと納得する
自分がいます。
実際にはまだまだ『遠い春』なのですが、ほんの少しでも兆しを感じたら、
それはやっぱり「夢だけど、夢じゃ無かった」…なのです。
窓の外を見ると澄み切った青空が広がっています。さえずり出した
小鳥達に誘われるように、私も街に出かけました。
暖かい室内から一歩外に出た途端、瞬間フローズン状態になるのも、
もう少しの辛抱だと思うと嫌ではありません。むしろ、楽しいくらいです。
散歩の途中で、春を待切れずに迎えに来ている人達を発見しました。
お花屋さんの行列です。みんな面白いようにチューリップの束を抱えています。
私もひと束抱えて並びました。
これからはキャンドルの代わりにチューリップがベンチのコーナーを彩ります。
庭の草花の季節がやって来る迄のしばらくの間、私はせっせとお花屋さんの
店先から “春の先取り”を楽しもうと思っています。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
窓の氷点下ですが、お花屋さんにチューリップが沢山出回り始めました。
飛ぶように売れて行きます。
私もチューリップを買いました。
春を先取り。淡いピンクがグレイのベンチに映えています。