onsdag den. 13 juli 2022

今夜は満月、
一点の翳りも無く完璧な丸を描いて夜空に浮かび上がった月が、
不穏な世の中を浄化するかのように静謐な光を放っています。

前回に続き、色々と考えさせらることの多い日々となりましたが、
それでも、日常は過ぎてゆきます。

ただいまー。
ユトランドで休暇を過ごしてきた娘たちが帰ってきました。
デンマークは大小の島々と北ドイツと国境を接しているユトランド半島
からなる、ほぼ九州と同じくらいの面積しかない小さな国ですが、
小さい割には地域色が濃く、それぞれ特色があって面白い。
例えば、アンデルセン生誕の地オーデンセで知られるフュン島の
出身の男性はマメで優しい人が多いと言われています。
パーティーなどでやけにマメな男性がいると、フュンだね…となります。
そんな中、デンマーク第二の都市オーフスを中心に南北に広がり、
その最南端が北ドイツと国境を接しているユトランド地方は
首都コペンハーゲンのあるシェラン島の人々とは言葉のアクセントも異なる上、
総じて表現が控えめだと言われています。
例えばユトランドの人に　Ikke så dårlig（エゲ・ソ・ドーリィ＝それ程悪くない）と
言われたらガッカリどころか、大いなる褒め言葉と思って良いのだそうです。
表現こそ控えめですが一度知り合うと、とことん親切に接してくれる。
日本の田舎などで感じる人情に通じるところがあるかもしれません。
ユトランドは、また、デンマークの底力を支える酪農業や第一産業の
生産拠点が点在していて、従業員の中には代々同じ業種を受け継ぐ人も多く、
そうした長年の間に育まれた実直な性格と風土が根付いているようです。
コペンハーゲンのビジネスマンは都会的でスマートだけど信用に欠ける、
と揶揄されるのとは対照的に、ユトランドの人は一度信用を取り付けたら裏切らない。
Vægge ben på jord（ベェグ・ビン・ポ・ヨァ＝地に足がついている。）
とも言われる所以です。

北海に面した同半島の西海岸は常に強い季節風が吹いていて、
海岸線の木は一様に東方向に傾いている。
冬ともなれば北極から下降してきた極寒の北風に胸ぐらを掴まれる。
そんな厳しい自然条件なのに、いや、だからこそ、人々はゆったりと
自分たちの人生を満喫しようとするのでしょう。
日本でもファンの多い、デンマークを代表する家具デザイナーの
ハンス J ・ヴェグナーはドイツとの国境に近い田舎町の出身です。
木工を生かした数々の代表作が厳しい自然の中から誕生したのは
ただの偶然からではないと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハンス・J・ウェグナー

ユトランドの写真を見ていると、この国の人々が培ってきた
自然との共存、暮らしの中から生まれる豊かな時間の過ごし方など、
見習いたいことがたくさん見え隠れしているようです。
… 今日は私もユトランドの人を見習って、
焦らずのんびりと夏の日を満喫しましょう。

岡村　恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







ユトランドの郊外スナップ
鮭が釣れるという清流。
夏の草花が風に揺れる野原が広がって。。。









今日の庭から
ラズベリーを摘んでヨーグルトに入れる夏の朝。
ラベンダーにミツバチが。。
ローリエの葉も乾燥させて保存します。



参考写真＝デンマークの地図。