きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 636】 by 岡村恭子
VOL.636 デンマークの暮らし 「カーテンを縫おう!」の巻
torsdag den. 9 september 2022
真夜中かと思ったら、まだ夜の9時…。
それくらい夜の闇が深くなってきました。
外は雨模様。庭の木々もそぼ降る雨に静かにうなだれて、
北欧の秋は日一日と深まって行きます。
カーテンを縫おう!
そう思い立って随分になります。
小さなアパートから古くて大きなこの家に越してきた当初、
業者の方に家の内外のメンテナンスを頼む傍ら、
できる限り自分達でもペンキ塗りや床のクリーニングなど
今思い出してもよくやった!と我ながら感心するほどでしたが、
中でも私が一番頑張ったのが家中のカーテンを縫うという作業でした。
ようやく縫い終わり、掛かっていた劇場のように重たいカーテンを外して、
軽やかな白いカーテンになった時には心から満足したのを覚えています。
が、しかし、あれから30年。流石に長年の使用で疲弊した様子です。
とりあえず居間とリビングの窓のカーテンを新しくしようと思います。
お料理もお菓子作りも、そして庭仕事やペンキ塗りなどでも、
いざ、はじめよう!という時に材料が一つでも足りないと急に
やる気が失せてしまう。裁縫も同じで、私のお裁縫箱の中は、
丁度使いたい色の糸が無かったり、入れておいたたはずのメジャーが
見つからなかったりして、その度にやる気が削がれ、
挙句は「まあ、いいか…」ということになってしまいがちです。
今回はそういうことの防止策として家人を仲間に入れました。
カーテーンを作るにはまず窓の寸法を正しく測ることが肝要と、
家具設計用の折り尺でピシッと測ってくれました。
無事に生地を購入し、新しいカーテンを縫うのを楽しみにしているところです。
実はまだ縫い始めていない…というより始められない。
何故なら布はあるけど材料不足なのです。今回は私の不手際ではありません。
布を購入したお店に希望するカーテン用部品の在庫がないというのです。
少々ガッカリですが、この国ではよくあることです。
今日のところは諦めて、気分転換しよう!と、
お気に入りのセレクトショップに立ち寄り、家人は小ぶりの皮剥きを、
私は食器用の布巾を見つけて元気回復です。
秋晴れの空の下。
大学通り(通称カルチェラタン)の石畳、その陽だまりで憩う人々、
アコーデオンから流れてくる「パリの空の下セーヌは流れる♪」のメロディー。
なんと長閑な午後でしょう。
ほんの束の間、持ち重みするカーテン生地のことも忘れ、
遠い国を訪れている旅行者気分に浸ったのでした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
街路樹も少しずつ黄色くなってきました。
アコーデオンの音色に気分はエトランゼ。
陽だまりのベンチで憩う学生たち。
少しずつトーンダウンする季節の中で
セレクトショップの甘いパステルカラーが
気持ちを明るくしてくれる。
今回購入した布巾と小さな皮剥き。