きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 651】 by 岡村恭子
VOL.651 デンマークの図書館と私の書店巡り雑記
torsdag den. 19 januar 2023
冬至からもうすぐひと月が経とうとしています。
長雨の後、久しぶりに青空が広がり、
ガラス越しの陽の光がとても明るく感じられます。
芝生の間からエランティスの蕾を発見!
早春の足音が聞こえてきたようでとても嬉しい。
年明けからの長雨で週末の公園には人影もありません。
退屈な日曜日、子供たちはどこで遊んでいるのかなあ?…
答えの一つが図書館にありました。
デンマークの図書館は地区センターのような役割も兼ねていて、
子供たちが遊びながら本に親しむよう工夫されています。
週末ともなると親子連れで大賑わい。
遊具の間を飛びまわりながら動物の名前を覚えたり、
柔らかいクッションに寝転んで絵本を開いたり、
傍の大人たちも安心してお気に入りの本を手にのんびりと過ごし、
併設のカフェで親同士情報交換をしたり…、文字通り、
赤ちゃんから大人まで終日楽しめるよう工夫された
明るい空間が広がっています。
図書館といえば…。
私の帰国時の楽しみの一つに書店巡りというのがあります。
特に読書家というわけでもないのに“本屋さん好き” です。
街を歩いていて書店を見かけるとふらりと入っては
新刊本が堆く積まれている売り場を隈無く巡り、
美しい装丁の本を手に取って暫く眺めたり、結構長居をして
しまいますが、一度だって店員さんに咎められたことなどない。
本当にどの書店も寛容で、まるで閲覧自由の新刊専門図書館です。
純文学からコミックまでありとあらゆるジャンルの本が並ぶ様は圧巻ですが、
そんな” 圧巻本屋さん” がショッピングセンターや駅の構内にまで
あるのですから、どうやら本好きな国民性は筋金入りと言えそうです。
私の場合はデンマークに持ち帰らなければならないので
コンパクトな文庫本中心になりますが、中でも新潮文庫に付いている
細くて茶色くて柔らかいけれど丈夫なリボンの栞には
いつも感動します。出版社の読者に対する誠意や心遣いを感じます。
長旅を終えて荷を解きひと段落。
一緒に旅してきた文庫本をトランクの横に山積みして、
その中から一冊を手にします。
買った時の情景を思い出しながら今日はここまでね…と
茶色い栞をそっとページに差し込みます。
小さな本に込められた出版社のプライドまで伝わって来るようです。
次回、文庫本を手にした時にも茶色い栞がついていますように…。
この春、3年半ぶりに帰国するを楽しみしているところです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
図書館の様子から
吹き抜けの明るいスペース、
シンプルなデザインの乳母車のパーキング表示。
「一生自転車」という切手シリーズ。
イラストの女の子が自転車に乗って成長。
自転車で環境に優しく健康な暮らしを実現。
一生自転車で幸福な人生!
芝生の間から顔を出したエランティス。
黄色い蕾が早春を告げています。