きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 667】 by 岡村恭子
VOL.667 夏至が過ぎて夏本番。
満180才になったTIVOLI 再考
søndag den. 24 juni 2023
あまりにも空気が乾燥しているため夏至祭恒例の
魔女を追い払う焚き火は禁止となってしまいましたが、
いつまでも暮れない夜空に花火をあげる音や
時折、若者たちの歓声が聞こえてきます。
卒業生を乗せたトラックが通って行ったのでしょう。
デンマークの高校卒業イベントはとても賑やか。
朝から夜遅くまでクラス生徒全員の家に立ち寄り、
それぞれの家族から祝福を受けるのです。
そんな人々のざわめきを遠く近く耳にしながら、
一年で一番明るい夜は更けて行きました。
北欧の人々にとって夏至の夜は特別です。
明るい季節のクライマックスを喜びつつも、
やがてくる暗い季節を覚悟する。
そんな切ない思いが込められているのです。
しかし、感傷的になるには早すぎる!
夏本番はこれからです。待ちに待った長い夏季休暇が始まるのです。
サマーハウスで過ごす人や海外旅行に出かける人々など様々ですが、
身近な場所でも楽しめる場所がたくさんあります。
夏のハイシーズンは世界中からたくさんの観光客がコペンハーゲンを
訪れる。その中で一番のスポットがTIVOLI公園です。
⚫︎TIVOLIの魅力
TIVOLIが誕生して今年で180周年だそうです。
今から180年前ということは… 1834年?!すごい!
明治元年が1866年ですから、日本はまだ江戸時代だった。
そのような時代に階級の差別なく誰もが楽しめる公園を
作ろうと思い立つこと自体、当時のヨーロッパ階級社会にあって、
なんと進歩的かつ大胆な発想だったことでしょう。
以来、今も変わらず人々に愛され続けているTIVOLIの中を
少し覗いてみましょう。
コペンハーゲン市庁舎と大通りを挟んで隣接しているロケーションにも関わらず、
一歩園内に入ると外の喧騒が嘘のように可憐なTIVOLIの世界が広がっています。
美しく咲き誇る季節の花々、見上げるように大きな樹々が緑の葉陰を作っている。
設計にあたっては日本庭園を参考にしたそうで、自然を巧みに取り入れた
ガーデニングには奥深い趣が感じられます。
緩やかな勾配に沿って行くと、曲がりくねった小道の先に意外な驚きや
楽しみが待っている…。
まるで玉手箱を開いたような、お伽の国に迷い込んだような煌めきが
そこかしこに見え隠れしているのです。
180年という歴史の歩みを大切に積み重ねつつ、時代に即して進化して続けてきた、
TIVOLIは他に類を見ない上質のアミューズメントパークと言えそうです。
芝生の広場では思い思いに人々が寛ぎ、そぞろ歩きの頭上を
ジェットコースターがかすめてゆきます。
ちょっと改まった服装でしてレストランで会食を楽しむ人もいれば、
木陰のベンチでおしゃべりに興じる人もいる。
昼は子ども劇場、夜はジャズライブ等々。
まさに大人から子供まで楽しめる憩いの場が
コペンハーゲン中央駅の真横に有るなんて信じられます?
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
写真は全てTIVOLI公園風景。
メイン広場の池と噴水。
ブランコの後方はコンサートホールです。
季節の花が咲く脇に設けられた寛ぎコーナー。
ここで読書も良さそうです。
園内のカフェ。緑あふれる…まるでオアシス!
ワイワイと戦利品を見せ合いながらのランチが楽しい。
TIVOLI名物の屋外劇場。
演目はピエロとプリンセスのバレー。
もちろん無料。観劇風景ものんびりと自由な雰囲気です。
小さな子供用劇場は屋根にも緑の草いっぱい!
サスティナビリティーを提唱しているTIVOLIらしい設えです。