きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 684】 by 岡村恭子
VOL.684 デンマークの暮らし 台風の後日談&値上げの秋の巻
torsdag den. 2 nobember 2023
雨降り続きでぼやいているうちに11月になってしまいました。
一年の過ぎるのがとても早く感じられます。
久しぶりに晴れた日の午後。
エリックが大きな梯子を運んできました。
先日の台風で瓦屋根が一枚ずれてしまったのを見つけた私が、
誰か良い瓦職人さんを知らないか?と相談した結果です。
屋根のほぼテッペンなので斜めにかける梯子は20メートルほどは
必要でしょう。我が家にそんな長いハシゴなど無いし、
落ちたら大怪我間違いなしです。ここは本職に頼むべきだという
私たちの意見には耳も貸さず、愛車サーブのロフトに括り付けてやってきました。
作業を始める彼にくれぐれも気をつけるよう念を押すと、
笑いながら高い所で作業するのはお手のものだと自慢気です。
そういえば彼の自宅は街の中心にある3階建てのコンプレックスです。
この梯子もそこの住民達が共有しているもので、彼に限らず誰だって
簡単なことなら3階の屋根まで登って修繕するというのです。
さすがDIYの国です。今回もハラハラ見上げる私達を他所に
いとも簡単そうに梯子を登り、ずれてしまった瓦を所定の位置に戻し
接着剤で固定、ついでに普段届かない個所の小さなメンテナンスもしてくれました。
作業が済んで無事着地!… ホッと一息つきながら、
しかし今回の水害は大きかった、という話題になりました。
中でも深刻なのは地下水の水位上昇だそうです。
下水の逆流なら時間の経過で解決しますが、地下水位が上昇した土地は
常に水を汲み上げなければなりません。根本的な解決策の無い悩ましい問題です。
気候変動の波は想像以上に急激に進んでいて、遠からず同様の問題が
地盤の低い他の地域でも起こるだろうとの予測です。
幸いコペンハーゲンは心配なさそうですが、差し当たって一番浸水しやすい
地下のスペースは床に直接モノを置かないようにしようと思っています。
話は変わって、デンマークも値上げラッシュです。
いつも使うマヨネーズの棚をみてビックリ!
今まで30クローナ前後(約600円)で購入できたのが一気に
45クローナ(約900円)に跳ね上がっています。
他にも小麦粉やサラダ油をはじめとした基本的食材、シャンプーや
洗剤といった日用品も軒並み値上げされています。
昨今の諸事情で仕方が無いとはいうものの、もう少し段階的に
少しずつユルユルと上げてほしいなあ…と思いながら
大幅に値上げされた商品を手に買うべきか買わざるべきか?と
悩むのは果たして私だけでしょうか?
…などと日常の些細なことで一喜一憂している間にも
秋が深まって行きます。落ち葉を掃きながら、
黄金色に輝く代々木の銀杏並木を思い出しました。
コロナ以前は年に2回、春と秋に帰国するようにしていました。
前回、秋に帰ったのはコロナ禍になる前の2019年の11月でした。
今思うとパンデミックなどという恐ろしい予兆など微塵もなく、
街はどこも明るく賑わって、全く不安の無い健康的で快活な世の中でした。
その直後からの著しい気候変動と世界中を不安に陥れたコロナパンデミック。
ひょっとして私たちは既にSFの世界にいるのかも知れません。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
2019年11月。
近代建築とのコントラストが印象的な東京の秋の風景。
黄金色に輝く銀杏並木と紅いモミジが美しい。
梯子をスルスルと上り下りするエリック、本職みたいです。
バス通りの並木も落ち葉が目立つようになりました。
太陽の位置が低くなってお昼頃でもこんなに影が長い。