きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 701】 by 岡村恭子
VOL.701 延江さんと行くIrma デザイン回顧展
onsdag den. 20 marts 2024
日増しに日照時間が長くなって来ました。
早朝から小鳥が囀って春を告げています。
私は冬を越した庭に立って、どこから手をつけてゆこうか?と、
イメージトレーニング中です。
⚫︎Irmaデザイン展(於: https://designmuseum.dk)
Vol.653でもお伝えした通り↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2480.html
デンマークのスーパーマーケットIrmaが昨年惜しまれつつ
137年という長い歴史に幕を下ろしました。
(Irmaと書いてイアマと発音します。)
その回顧展がデザインミュージアムで開催されていると
いう耳寄り情報を教えてくれたのは他ならぬ延江さんでした。
Kg.Nytorv広場で待ち合わせ、王宮に繋がる道をおしゃべりしながら散策、
アンティックショップやカフェが立ち並ぶ通りを観光客気分で
歩くのも楽しいし、以前、家人のオフィスも同じ通りに有ったので
当時を思い出して懐かしい。
マーブルチャーチを通りぬけて反対側の通りに出れば、程なくミュージアムに到着です。
会場はたくさんのIrmaファンで賑わっていました。
“ たかがスーパーマーケット されどIrma “ なのです。
デザイン回顧展を開催するほどデザイン重視の経営が成り立ったのも
デンマークだからこそ、だったかも知れません。
⚫︎IrmaブルーとIrmaちゃん
シンボルカラーはIrmaブルーという呼称にもなったコバルトブルー。
トレードマークは青いドレスに大きなリボンをつけた女の子。
首都圏のみでの展開というのも大きな特徴で、
コペンハーゲンから地方へのお土産はIrma珈琲や、期限限定販売の
Irmaグッズなどが人気だったというブランド力もありました。
会場の壁面に整然と展示されたペーパーバッグやプラスティックバッグの前で
多くの人が指をさし、持ってる、知ってる。持ってた、買った。というような
会話が飛び交っていました。御多聞に洩れず私もそんな観衆の一人です。
Irmaの袋には環境問題や食品の安全基準など、一つ一つに意味のある
メッセージが込められているのです。
実際、環境問題にもいち早く取り組み、商品包装を再生可能素材に切り替え、
オリジナルのエコロジカル商品の開発にも熱心に取り組んでいました。
当時から、一歩どころか何歩も先をゆくSDGs企業だったということがわかります。
Irmaのブランドが高まる一方で、イメージを保つためのコストも
年々跳ね返り、最終的に他との価格競争には勝てなかったという
よくあるお話で終わってしまったのですが、
これがもし日本だったら…。
そしたらきっと、IrmaブルーとIrmaちゃんを蘇らせて
人気ブランドに育て上げたのではないかなあ?
そんな想像しながら会場を巡りました。
私以外にもIrmaブランドがこのまま消えてゆくのを惜しむ人で
いっぱい!の回顧展でした。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
写真:全てIrmaデザイン回顧展より。
Irmaちゃん誕生の歴史やショッピングバッグに込められた
メッセージなどIrmaの優れたデザインポリシーと
トータルコンセプトが見て取れる内容。
統一感のあるフォントとカラーリング。
パッケージにも神経が行き届いていた。
Irmaちゃんのマークが可愛い。
キャッチコピーは
「より良い地球のために。」
再生プラスティックバッグ。
何度も使用して最後は土に帰る。