2010年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 42】 by 岡村恭子
VOL.42 春一番の大掃除
torsdag den 11. marts 2010
スーパーマーケットの広告に掃除道具や洗剤が目立つようになりました。
冬の間、ぴったりと窓を閉めきり、暖炉を焚いたり一日中キャンドルを
灯していたので、室内はかなり煤けてしまっていますが、
暗い季節は部屋の隅の方まで目が届かないし、例えば、薄暗いバーなどに
入った時に感じる穴蔵的な心地良さに似て、少々のホコリなど気にならない、
否、その方がかえって暖かいような気さえするものです。
デンマークではこんな時に“hyggelig”(ヒュックリー)と言います。
本当にみんなが冬の間中ヒュックリー!を連発しながら、キャンドルを灯して
ヌクヌクしていたわけです。
それが、室内に陽光が差し込むようになった途端に、汚れが目立ち始め、
どうにも放っておけなくなる。明るい季節を迎える準備をしたくなります。
本日の気温は+3℃。曇天。少し寒いけれど、私もお掃除開始です。
えいっ!思い切って窓を大きく開けました。一気に新鮮な空気が室内に
流れ込んで、冷たい風もいっそ気持よく感じられます。
デンマークは洗剤の種類が豊富です。
床やガラス磨きに始まり、家具専用ポリッシュなどに混ざって
カルキ除去剤など、日本ではあまり馴染みの無いものまで、
スーパーマーケットの棚には何十種類もの洗剤や専用ポリッシュが並んでいます。
確かに、我が家を例にしても、フローリング、レンガ、大理石、コルクと、
床だけでもこんなにいろいろです。洗剤選びは悩ましく、デンマーク語の
成分説明書を解読しながら首を傾げてしまうこと幾度か。
そうして行き着いたのが、この国で昔から使われて来た万能ソープでした。
名前をブラウンソープと言います。100%自然素材ですから、
床磨きからオーブン調理機の内側までOKという優れものです。
テレビのCMに登場する有名ブランドの洗剤のような派手さは一切無いし、
地味で廉価で店頭でも棚の下の方に並んでいます。真の実力者は目立つ
必要など無いというわけです。
この実力者さえ居てくれれば鬼に金棒。あとは床用の大判雑巾をデッキブラシの
下に敷いてブラシごと拭いて行くだけ、流行りの掃除キットなどは不要です。
要するに一昔前の床磨き方法ですが、
デンマークのおばあちゃん達が見たら、「そうそう、それが一番!」と
大きく頷いてくれそうだなって思っています。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
キッチンの窓の寒暖計で気温をチェック!(デザイン:Tommy Larsen)
これが私の床磨きセット。
デンマークの水道水にはカルキが含まれている為、
こまめにカルキを取り除く必要があります。
写真は洗濯機用とコーヒーメーカー用のカルキ除去剤。