2010年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 43】 by 岡村恭子
VOL.43 人とモノとの気長なお付き合い
torsdag den 18. marts 2010
北欧の今頃は三寒四温ならぬ四寒三温、まだコートにマフラー&手袋が
必携です。庭仕事はもう少し待たなければなりません。
そのような訳で、またまたお掃除の話で恐縮ですが、今回は床や窓拭きに
続いてダイニングの壁に取り付けてある、ガラスケースをきれいにした時の
ことです。
ケースの中には椅子のミニチュアなどと一緒に、木製の動物達が鎮座して
います。小熊に小鳥、お友達がデザインした猫、一番下の棚にはワニも
うずくまっている。ケースに納まっている時は、ほとんど見過ごして
いるこれらの置き物を、お掃除ついでに明るい所に出してあげました。
テーブルに並べてみると、なかなかどうして可愛らしい…そう言えば、
他にもサルの親子や家人がデザインした木馬が白、黒、ナチュラルと3頭、
ソファの影には、これまた家人が若い頃デザインしたというダックスフンドが
吠えもせずジッと静かにしています。
ここは玩具屋さん?と我ながら呆れますが、木製ということもあるのでしょう。
違和感なく室内の空間に溶け込んでいます。
みんな、日向に出ておいでー。
お掃除ついでにチークオイルを湿したタオルで、ひとつずつ丁寧に拭いて
あげました。ナチュラル仕上げのモノはオイルで磨くと、更に良い味が出て来ます。
今回に限らず家具や日用品など木工製品は、年代と共に風合いが変化して行く
所が大きな魅力のひとつだと思います。陽に焼けて色褪せたり、
何かの拍子に凹んだり傷付いた箇所に、転んで怪我をした子供に薬を
塗ってあげるように、優しくオイルをすり込んであげる。
そんな人とモノとの気長なお付き合いが大切だよ、と教えてくれているようです。
デンマークには伝統的なクラフトマンシップから生まれた数多くの
優れたデザインの木工製品が有ります。最近はグローバリゼーション化の波に
揉まれて苦労しているようですが、家具デザイナーと一緒に暮す私は、
密かにそんな時代だからこそ、丁寧に作られるデニッシュデザインが意味を
持つと信じています。
おう、玩具のお話から結構ちゃんとしたデニッシュデザインのお話にまで
たどり着けました。ホッ!…。
デンマークに暮して数十年、すっかり北欧の世界が日常になってしまい、
ともすると忘れてしまいそうな大切なことを「きょうのクロスステッチ」を
したためる度に気付かせてくれます。
ありがとう。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
一つ一つに懐かしい思い出と愛着がある、我が家の木製玩具&オブジェ
Design: 猿&小熊=Kaj Bojesen
小鳥 =Kristian Vedel
猫 =Chiori Ito
木馬&犬=O&M DESIGN